Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 基礎
シンポジウム 基礎 1 光と超音波の融合によるイメージングモダリティの新展開(日本超音波医学会光超音波画像研究会との共同企画)

(S231)

LED励起方式光音響イメージングシステムによる超音波と光音響の受信信号の基礎的検討

Fundamental study for RF data of ultrasound and photoacoustic signal using Photoacoustic imaging system by LED array light source

繁田 裕介, 阿賀野 俊孝, 佐藤 直人, 中塚 均, 北川 一生, 花岡 祟貢, 田中 千鶴代, 森園 考次, 倉嶋 和之

Yusuke SHIGETA, Toshitaka AGANO, Naoto SATO, Hitoshi NAKATSUKA, Kazuo KITAGAWA, Takamitsu HANAOKA, Chizuyo TANAKA, Koji MORISONO, Kazuyuki KURASHIMA

プレキシオン株式会社第一開発本部

R&D Division 1, PreXion Corporation

キーワード :

【目的】
近年パルス光を照射し,組織が光を吸収し断熱膨張により発生する光音響波を受信することで光吸収体の分布や特性を画像化する光音響イメージングが多く研究されている.本検討は我々が開発したLED光源励起方式光音響イメージングシステムを使用し,超音波と光音響波の受信信号のRFデータを比較評価することによりLED光源方式による光音響波の特性を知ることで画質改善に繋がる手法を見出すことを目的とした.
【方法】
実験に用いた光音響イメージングシステムでは超音波の送受信と光音響波の受信を行なうリニアプローブ(128ch,中心周波数10MHz)を接続し,光音響波の励起光源としてLED光源を用いてプローブの両側に装着した.測定対象としては,光散乱係数を持つイントラリポス(0.7%大塚製薬)溶液入り寒天ファントムと脱気水を使用し,針(20Gニプロ社製 カテラン針20G)を断層面に斜めに設置した.LED光源から約200μJ/pulse, Peak波長850nmのパルス光をファントム上面からカテラン針に向けて照射し,超音波と光音響波の受信信号のRFデータを取得した.
【結果・考察】
ファントム内に設置した針の上面境界付近から強い信号が得られた.
受信したRFデータを画像化した光音響画像を図1,超音波画像を図2に示す.
図2の超音波画像は細かな球面波が重なって見えるが図1の光音響画像は平面波のように一様な波になっていることがわかる.
これは超音波の場合,送信波が平面波であっても媒質内の微小粒子で散乱や回折を重ねた波面となって針に到達するため,針周辺の超音波に強弱が発生していると考えられる.受信信号も同様に影響を受けるが,光音響波の場合は光が針に一様に照射され,超音波の送信波のような影響を受けずに,この影響が受信信号のみに限られるからだと考えられる.
この特徴を考慮して,光音響波の画像化については通常の超音波とは違った信号処理が必要なのではないかということが示唆された.今後はさらなる光音響波の特徴やS/N向上のための信号処理を研究していく.