Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
ワークショップ 領域横断 2 超音波診断の決めてとなるサインと病理組織における根拠

(S226)

病巣深部低エコーは,漿膜下層浸潤胆嚢癌を示す

Gallbladder tumors with a deep hypoechoic area suggest pT2 carcinoma

藤本 武利1, 加藤 洋2

Taketoshi FUJIMOTO1, Yo KATO2

1平塚胃腸病院外科, 2獨協医科大学日光医療センター病理部

1Department of Surgery, Hiratsuka Gastroenterological Hospital, 2Department of Pathology, Nikko Medical Center, Dokkyo Medical University

キーワード :

【目的】
外側高エコー層に著変を認めない胆嚢癌は,従来US/EUS上の胆嚢壁層構造より粘膜癌・固有筋層浸潤癌・漿膜下層浸潤(SS)癌のどれも考えやすく,これらの鑑別は困難とされてきた.そこで,外側高エコー層に著変を認めない平坦浸潤型SS胆嚢癌のUS像を検討し,その特徴を明らかにする.
【症例提示】
(症例1)無症状の40歳代男性.USで胆嚢底部に径5-15 mmのIs型隆起が3-4個あり,軽度壁肥厚を伴っていた.底部の径8 mmほどのIIa型隆起は薄い表層高エコーを伴う低エコー腫瘤を示し,外側高エコー層に著変を認めなかった(図).小さいため腺腫〜早期癌を疑って腹腔鏡下胆摘を行った.切除胆嚢は肉眼的に粘膜が粗ぞうで底部寄りに乳頭状増殖部を認めた.病理組織学的にこの部を中心に多数の小さなcancer focus(粘膜癌)がみられ,また,乳頭状増殖部に隣接した平坦部に径5 mm位のSS癌(por-sig,SSの厚さ:1mm)を認めた.二期的に追加手術を行い,リンパ節転移を認めなかった.(症例2)無症状の50歳代男性.USで胆嚢底部の腹腔側に長径3cmの広基性隆起を認めた.外側高エコー層に著変がなく血流シグナルを検出しなかったが,造影すると右側辺縁でよく染影された.腺腫〜早期癌を疑って腹腔鏡下胆摘を行った.切除胆嚢の底部にみられる病変は病理組織学的に右側辺縁の一部でSS癌(por,SSの厚さ:1mm)を示したが,ほとんどが乳頭状過形成〜腺腫・粘膜癌であった.なお,US動画を見直すとSS部に僅かな病巣深部低エコーを認めていたが,他の部位にはみられなかった.二期的に追加手術を行い,リンパ節転移を認めなかった.
【考察】
進行胆嚢癌のほぼ9割を占める乳頭浸潤型の初期像において病巣深部低エコーが認められることは既報告1)の通りである.自験の2例は,特に悪性度が高いとされる平坦浸潤型進行癌においても病巣深部低エコーがその初期に認められることを示している.いまだ少数例の検討であるが,病巣深部低エコーは,外側高エコー層に著変がなくても進行胆嚢癌の初期である初期SS胆嚢癌を示す重要なUS像(サイン)である.
【結論】
平坦浸潤型SS胆嚢癌2例のUS像は外側高エコー層に著変がなく病巣深部低エコーを認めていた.病巣深部低エコーは,線維化とリンパ球浸潤を伴うSS部に相当し,SS胆嚢癌を示していた.
文献
1)藤本武利,加藤 洋.外側高エコー層の吊り上げ肥厚を伴う胆嚢腫瘤は初期SS胆嚢癌を示す.Jpn J Med Ultrasonics 39;131-138:2012