Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
ワークショップ 領域横断 1 この領域の超音波検査について聞きたい:眼科,皮膚科,運動器,呼吸器,神経など

(S223)

超音波による末梢神経の評価 特に神経小束の同定の意義について

Peripheral nerve examination by ultrasound where emphasis should be put on identification of nerve fascicle structure

佐次田 保徳

Yasunori SASHIDA

沖縄県立北部病院形成外科

Department of Plastic Surgery, Okinawa Hokubu Prefectural Hospital

キーワード :

超音波による末梢神経の観察についての報告も散見される.今回,神経の評価に於ける神経小束の温存の意義についてその重要性を明らかにしたい.対象症例は2011年6月から2015年12月までの15才から66才までの6例である.全例,神経損傷に関し超音波検査にて所見が認められ,6か月以上観察可能であった.2例は上腕レベルでの鈍的橈骨神経損傷と尺骨神経損傷で,いずれも神経の挫傷いわゆるneuroplaxiaであり回復した.2例共に,受傷部位での神経小束の消失が認められ,一方では,遠位の神経小束の構造は保たれていた.残る4例は全て鋭的損傷で,神経の断裂が手術で確認された症例である.環指の切断に伴う指神経断裂の1例,神経移植の際に使用された外側前腕皮神経採取の1例では,それぞれ5か月,3ヶ月後には,損傷部位の末梢の神経の神経小束の消失が確認された.また,残る2例,即ち,反回神経断裂の1例,正中神経断裂の1例では,修復手術の後に超音波検査での神経の評価が行われた.修復手術が行われたのち7ヶ月経過すれど回復しない反回神経断裂例では,神経小束を含めた神経の構造が失われたままであるが,ほぼ完全に回復した2年経過した正中神経断裂後修復手術の症例では,神経吻合部をまたぐ神経小束の連続が確認された.
正常な神経の超音波所見としては,高エコーな周辺結合組織と低エコーな神経小束(Karabay. 2010)や縦断像としてのparallel linear echoes(Zheng M, 2014)として表現されている.神経の内部構造に至るまでの観察の手段としては,現在超音波が最も鋭敏だと考えられる.しかし,多くの神経損傷では,臨床的な神経の評価と電気生理学的検査を元にその診断がなされ,神経を直接評価していることは少ない.特に,神経損傷後の回復あるいは修復の後の評価では,他の神経の補填によるものなのか,神経の回復なのかの判断が確定できないでいる.一方,今回提示した症例では,神経小束が保たれている場合は神経が回復しており,そうでない場合は回復をみていない.神経が損傷されると,程度がひどい場合には,神経の脱髄が起こり,4,5週間で遠位の構造が失われていく.本例で回復した鈍的神経損傷の2例は,遠位の神経小束が保たれており,鈍的外傷の場合に回復の可能性が認められる神経では,遠位の神経小束の構造が保たれ続けている可能性を示唆する.また,神経修復後の評価としては,吻合をまたいで連続する神経小束の存在を確認することで,修復の効果を評価できる可能性を示唆している.