Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
ワークショップ 領域横断 1 この領域の超音波検査について聞きたい:眼科,皮膚科,運動器,呼吸器,神経など

(S222)

リウマチ性疾患の関節をエコーでみてみよう

Ultrasound imaging of joints in rheumatic diseases

布留 守敏

Moritoshi FURU

京都大学医学部附属病院リウマチセンター

Department of the Control for Rheumatic Diseases, Kyoto University Graduate School of Medicine

キーワード :

関節リウマチ(RA)は,滑膜炎から関節破壊と変形を生じる進行性炎症性疾患である.RAの治療目標は臨床的寛解であり,生物学的製剤など薬物治療の進歩により臨床的寛解が実現可能となった.RAの寛解判定は,従来DAS28やSDAIなどの総合活動性指標が用いられているが,圧痛関節数や腫脹関節数など検者の主観的な滑膜炎評価が含まれており,必ずしも正確であるとは言えない.そこで,より客観的な評価が可能な超音波検査(US)が機器の進歩とともに普及してきた.外来やベットサイドで簡単にできるUSは,治療効果判定や薬剤変更,手術適応の判定において有用である.またRAの早期診断においてUSの有用性が数多く報告され,USによる骨びらん判定は単純X線と比較して6.5倍の検出感度があり,USを併用するとRA分類基準の精度を上昇することができる.さらにRAと鑑別を要する疾患の判定においてもUSは威力を発揮する.脊椎関節炎で特徴的な腱付着部炎はUSによる検出感度が高く,また結晶誘発性関節炎では関節表面などに結晶が沈着した像を観察できる.一方でUSは骨髄内を評価できないためRAの前病変とされる骨髄浮腫は判定できないし,滑膜炎や骨びらんは必ずしもRA特有の所見ではないため,鑑別には総合的な判断が求められる.
京都大学医学部付属病院リウマチセンターKURAMAコホートに登録したRA患者253人に施行したUSによる残存滑膜炎の解析において,評価関節として重要とされてきたMTP関節よりも,中足部および後足部,特にショパール関節に残存滑膜炎が多くみられた.ショパール関節は足アーチの頂点にあり,この部位の滑膜炎は扁平足や開帳足などの足部変形につながると考えられている.足部変形による何らかの身体機能障害を訴える患者は約8割存在しており,USを用いた足部の評価がますます重要となるであろう.