Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
パネルディスカッション 領域横断 4(JSUM・JABTS共同企画) 超音波検査環境に関する工夫・アイデア 女性の視点から・男性の視点から(JSUM男女共同参画委員会共同企画)

(S214)

小児の超音波検査

Ultrasound in children

余田 篤

Atsushi YODEN

大阪医科大学小児科

Osaka Medical College

キーワード :

将来の発癌を考慮するとALARAの法則(As Low As Reasonably Achievable)を重視して,小児の不必要なX線検査やCTは極力避けることが推奨される.近年,安易にCT検査が施行される傾向があり,危惧されている.この点において腹部超音波検査(以下超音波)はまさしく小児における最適なImaging modalityである.
小児の超音波においては,検査室の環境を明るく,楽しげにすることが,検査を容易にして,検査精度をあげることにもつながる.いいかえると検査室の壁紙の装飾を明るくし,検査室におもちゃを常備し,検査中に被検者である小児を楽しませる.演者の施設では天井に映し出されるビデオや,ボタンを押すと音の出るおもちゃなどを数種類常備していて,被検者の年齢や好みに応じて検査時に楽しめるようにしている.検者がこどもに話しかける,保護者と遊びながら検査をする,乳幼児では保護者の膝枕などを利用する,まえもって好きな絵本やおもちゃを持参させるなどの工夫が大切である.原則として,検査のための鎮静薬の投与は控える方がよい.
検査に際しては被検者の身長,体重,体脂肪にあわせて,探触子だけでなく,フォーカスや周波数なども調整する.新生児や乳児では通常のサイズのコンベックス型探触子では心窩部横操作は肋骨にあたり困難で,可能であればサイズの小さな高周波のコンベックス型探触子を使用する.一般に小児では成人より高周波数(5-10MHz)の探触子が勧められ,また,消化管の観察では,リニア型が有用なことが多い.
小児の超音波の特徴は,すべての対象臓器が小さく,また,探触子と対象臓器の距離が成人より短いことである.このために,被検者が動かずにじっとしてくれて,検査を施行できると,成人より詳細に観察できることが多い.例をあげると虫垂,胆管,膵管などの壁の性状や数mm大の胆道内の蛋白栓なども容易に観察される.一方,深吸気や行き止めが困難で,ウィンドウとしてよく使われる膀胱内に尿をためることは困難である.また,超音波下での肝生験や腎生検では行き止めが原則であるが小児では全身麻酔下でないと行き止めでの生験は難しい.
ほとんどの検者は日常,成人を対象として検査していると思われる.小児の超音波においては,日常小児で経験されやすくて,成人では比較的稀な,小児特有の疾患を理解し,慣れておくことが望まれる.具体的には乳児肥厚性幽門狭窄症,腸重積,胆道閉鎖,胆道拡張症,尿路奇形,先天性心疾患などがあげられる.また,年齢別の正常値(腎・脾臓・胆管径などのサイズ)は表にしておき,新生児期から幼児にかけての腎臓の皮随構築の変化などは慣れておく.
課題としては本学会への入会を基軸として,小児科医を含めた超音波施行医と技師の増員,心臓と腹部だけでなく,肺,関節などの検査領域の拡充,初学者の基礎トレーニングの一環としての小児部門の導入などがあげられる.
繰り返しになるが,小児ではより被曝を避けるべきであり,画像診断においては超音波が優先されなければならない.主に成人を対象に超音波が施行されている施設では,慣れていないとか,あばれるなどの理由で小児の超音波は敬遠されやすいが,このパネルディスカッションを機に,医師だけでなく技師の皆様方が小児の超音波も積極的に検査していただけるようになることを切望する.