Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
パネルディスカッション 領域横断 4(JSUM・JABTS共同企画) 超音波検査環境に関する工夫・アイデア 女性の視点から・男性の視点から(JSUM男女共同参画委員会共同企画)

(S212)

乳がん検診・乳房超音波検査における女性技師・医師の役割

The role of female technicians and physicians in US breast screening

坂 佳奈子

Kanako BAN

公益財団法人東京都予防医学協会がん検診・診断部

Department of Cancer Detection and Diagnosis, Tokyo Health Service Association

キーワード :

当施設では乳がん検診と精密検査を中心とした乳腺外来を併設している.最新のデータとして2014年度の乳がん検診は22,197件で,マンモグラフィ(MG)検診が16,480件,MG+乳房超音波(US)検診が2,333件,US検診が3,274件,視触診単独検診が110件であり,US技師の関わる乳がん検診の割合は25.3%であった.外来数は2014年度1,554名でそのほぼ全員にUSは実施されている.
当施設では検診部門,精査部門ほぼ全例が女性の臨床検査技師によりUSが実施されており,女性技師の乳がん検診・診療に関わるウエイトは大変に大きい.当施設には32名の臨床検査技師が在籍し,男性1名,女性31名であり,US担当は18名である.
US担当技師は日本超音波医学会の検査士の資格として消化器を取得し,次年度には体表臓器を取得,その後NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構が実施する乳房超音波講習会を受講し必ずAまたはB評価を得るという順序でキャリアを形成している.また資格を有した技師については給料面でも毎月少額ではあるものの特別手当を支給している.
検診・診療共に当施設では女性専用フロアでの検査,診察を行い,受診者(患者)には,閉鎖された空間で一度検査着に着替えれば検診および診療の終了までは着替えなくて良いという方式を取り入れており,寒いあるいは暑いという苦情が起きないように工夫している.また検査,診察もすべて女性技師,女性医師にて実施するということで,女性の患者さんの羞恥心や不安に対応できるようにしている.
US検査中も検査していない方の乳房にはタオルを乗せる,使用する超音波用のゼリーを温めておく,終了後は温かいタオルでゼリーを取るなど女性ならではのきめ細かい手順で検査を行っている.
また検診施設の管理者的な視点から,女性技師による検査の場合には男性技師と異なり,現場に看護師などの女性スタッフが付き添う必要もなく,特に出張検診など人手不足の現場では非常に効率が良いと考えられる.
乳がん検診及び診療において,いまや女性技師,医師は検診施設においては欠かせない存在である.しかし,ただ「女性」というだけではなく,日進月歩の医療に対応できるように施設内の勉強会を開催し,学会やセミナーへの参加を奨励し日々精進するように指導している.様々な資格なども積極的に取得させ,またそれに対する昇給など,これからの検診施設は女性技師やスタッフを尊重した育成が非常に重要だと考える.