Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
パネルディスカッション 領域横断 2 脳神経領域における超音波の使い方

(S205)

椎骨動脈による後方循環系の評価

Evaluation of posterior circulation using pulsed Doppler waveform of vertebral artery

竹川 英宏1, 2, 岡部 龍太1, 3, 岡村 穏1, 鈴木 圭輔4, 平田 幸一4, 髙田 悦雄2

Hidehiro TAKEKAWA1, 2, Ryuta OKABE1, 3, Madoka OKAMURA1, Keisuke SUZUKI4, Koichi HIRATA4, Etsuo TAKADA2

1獨協医科大学神経内科(脳卒中部門), 2獨協医科大学超音波センター, 3公立阿伎留医療センター内科, 4獨協医科大学神経内科

1Stroke Division, Department of Neurology, Dokkyo Medical University, 2Center of Medical Ultrasonics, Dokkyo Medical University, 3Department of Internal Medicine, Akiru Municipal Medical Center, 4Department of Neurology, Dokkyo Medical University

キーワード :

【はじめに】
椎骨脳底動脈(vertebral artery: VA)の狭窄や閉塞はSaitoら1)の診断基準が提唱されているが,頸動脈超音波検査によるVA起始部(V0)狭窄や,脳底動脈(basilar artery: BA)狭窄または閉塞診断の明確な基準は知られていない.そこでわれわれは自験例を対象にこれらの診断につき検討を行ったので報告する.
【V0狭窄診断】
VA 151血管を対象に,VAのacceleration time(AcT)を同側総頸動脈(common carotid artery: CCA)のAcTで除した値をVA-AcT ratioと定義し,V0狭窄率と比較検討した.その結果,V0狭窄率とVA-AcT ratioは正の相関を示し(単回帰分析,r=0.719,p<0.0001),カットオフ値を1.25とした場合,V0狭窄率50%以上の診断は感度93.3%,特異度88.2%(ROC曲線,曲線下面積0.974)であった.
【BA狭窄・閉塞診断】
両側VAのmean velocityが18cm/sec未満であった122例を対象にBA狭窄がないか検討を行った.その結果,BAに50%以上の狭窄または閉塞が存在する例は,左右のVAのうち低値であったMV,拡張末期血流速度(end-diastolic velocity: EDV)が有意に低く,左右のうち高値であったPI(pulsatility index),RI(resistance index)は有意に増加していた(Mann-Whitney U test,p<0.05).ROC曲線をみると,MVおよびEDVの有用性はなかったが,PIは曲線下面積が0.718,RIは0.662であった.PIのカットオフ値を2.0,RIのカットオフ値を0.82とした場合,両者とも値が高い場合のオッズ比は3.75,片方のみが高い場合のオッズ比は2.96となった(logistic regression analysis,p<0.005).しかし陽性的中率は4割程度と低く,陰性的中率が8割以上と高率であった.
【考察】
V0狭窄およびBA狭窄・閉塞の診断について検討した.V0狭窄においてはAcTの有用性が示唆された.AcTは大動脈弁狭窄症で延長することが知られているが2),CCAと比をとることで弁膜症の影響を除外した診断が可能であると推察される3).一方,BA狭窄・閉塞診断においては,PIおよびRIの有用性が示された.これらは末梢血管抵抗の増加で上昇することが知られており,VAにおいてもその有用性が示されたと考えられる4).
【結論】
VAによる後方循環系の評価について報告した.現在の診断機器で評価可能な項目を用い,さらに有用な診断方法を得ることが求められる.
【参考文献】
1)Saito K, et al. Stroke 2004;35:1068-1072.
2)O’Boyle MK, et al. AJR Am J Roentgenol 1996;166:197-202.
3)Takekawa H, et al. J Med Ultrason 2014;41:63-67.
4)Wang Y, et al. J Ultrasound Med. 2014;33:2131-2136.