Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム 領域横断 Joint2(JSUM・AFSUMB Joint Session)(English) 3D超音波の臨床応用

(S197)

肝癌の精密診断における造影3D超音波の臨床応用

Clinical applications of contrast-enhanced 3D ultrasonography for hepatocellular carcinoma

麻生 和信, 岡田 充巧, 玉木 陽穂, 太田 雄, 大竹 晋, 羽田 勝計

Kazunobu ASO, Mituyoshi OKADA, Yosui TAMAKI, Yu OTA, Shin OTAKE, Masakazu HANEDA

旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野

Division of Metabolism and Biosystemic Science, Department of Medicine, Asahikawa Medical University

キーワード :

【はじめに】
造影3D超音波(造影3D)は画像処理技術の向上により,近年飛躍的に進歩した分野であり,肝癌の臨床応用面では腫瘍の立体構造を精細かつ簡便に評価できるという特長を持つ.今回,肝癌診断における造影3Dの有用性について,最近の知見を中心にまとめたので報告する.
【対象】
2015年10月31日までに造影3Dを行った肝腫瘍連続98症例126結節を対象とした.腫瘍の内訳はHCC 105結節,ICC 4結節,Meta 6結節,Hemangioma 10結節,FNH 1結節であった.平均腫瘍径は29.0mm(8〜89mm),体表からの深さの平均は7.2cm(1.9〜13.3cm)であった.
【方法】
1.画像取得:使用装置はAplio 500.造影3Dの撮像はMechanical 3D probeを使用し,Sonazoid® 0.2ml/body投与後,Differential Contrast Harmonic Imaging 5.0MHzのHigh MIモード(MI値0.73-0.80)にて行った.volume dataは血管相,後血管相ともに自動走査によって取得した.2.3D画像表示:時相毎にUS tomography(多断面連続表示),MPR(多断面分割表示),MIP(腫瘍血管像)を作成した.3.画像評価:画像評価はOhtoらの報告1)に準じて行った.本研究は肝腫瘍の質的診断,肝癌の形態診断および悪性度診断における造影3Dの有用性ついて検討した.
【結果】
1.肝腫瘍の質的診断:造影3Dの正診率はHCC/ICC/Meta/Hemangioma/ FNHそれぞれ96.5/98.8/100/100/100(%)と高率であり,造影2D超音波(造影2D)では診断困難なICCとMetaの鑑別において有用性が示唆された.これは造影3D表示によって,腫瘍血管の連続性を把握することが可能となり,さらに多断面・多方向からの観察を行うことによって診断能が向上したためと考えられた.2.肝癌の形態診断:後血管相のdefectについて輪郭像を基に検討した結果,造影2Dでは97%と大半が輪郭不明瞭であったのに対し,造影3Dでは43%が輪郭明瞭であり,造影2Dと比べ有意にコントラストが良好であった(P<0.01).さらに肝癌切除例を対象に肝癌肉眼型の正診率を調べた結果,造影3Dの肉眼型正診率は100%であった.これは高音圧撮影下の造影3Dが腫瘍欠損像の評価に適していることに加え,直交3断面を最小0.1mmの等間隔で連続的に観察できるという3D独自の効果によるものと考えられた.3.肝癌の悪性度診断:6cm未満の肝癌を対象に,腫瘍欠損像を輪郭明瞭型と輪郭不明瞭型に大別し,組織学的分化度との関連について検討した.その結果,中分化型肝癌では全例が輪郭不明瞭型を呈したのに対し,低分化型肝癌や混合型肝癌などの高悪性度肝癌では全例が輪郭明瞭型を呈した.さらに癌部とその近傍の非癌部について輝度解析を行った結果,腫瘍輪郭像はKupffer細胞の多寡と関連し,輪郭明瞭型ではKupffer細胞数が大幅に減少している事が示唆された.すなわち,造影3D後血管像は肝癌の悪性度診断に役立つ可能性があり,肝癌の診断体系において重要な役割を持つことが示唆された.
【結語】
造影3Dは肝癌の病理学的因子を加味した精密病態診断が可能であり,実臨床では肝癌の治療選択において有用性が示唆された.
【参考文献】
1)Ohto M et al: Vascular Flow Patterns of Hepatic Tumors in Contrast-Enhanced 3-Dimensional Fusion Ultrasonography Using Plane Shift and Opacity Control Modes.: J Ultrasound Med 24:49-57,2005.