Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム 領域横断 Joint2(JSUM・AFSUMB Joint Session)(English) 3D超音波の臨床応用

(S196)

胆道・膵臓領域における造影3D超音波検査

Contrast enhanced 3D ultrasonography for biliary and pancreatic disease

三輪 治生1, 2, 沼田 和司1, 合田 賢弘1, 入江 邦泰1, 石井 寛裕1, 杉森 一哉1, 田中 克明1, 前田 愼2

Haruo MIWA1, 2, Kazushi NUMATA1, Yoshihiro GODA1, Kuniyasu IRIE1, Tomohiro ISHII1, Kazuya SUGIMORI1, Katsuaki TANAKA1, Shin MAEDA2

1横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター, 2横浜市立大学医学部消化器内科学

1Gastroenterological Center, Yokohama City University Medical Center, 2Gastroenterology, Yokohama City University

キーワード :

【諸言】
3D超音波検査は,これまでの超音波診断では困難であった多断面からの画像診断を可能とするが,消化器領域においては普及が進んでいない.この理由は,多数の臓器や血管,消化管ガスなどの影響を受ける事により,診断的に寄与する様な画像を再構築できないことにある.当教室では,消化器領域における3D超音波検査の利点を,「Volume dataの取得による客観的な画像評価」と「再構築による腫瘍血管の立体的な描出」にあると捉え,造影超音波検査と組み合わせる事により診断に活用してきた.
【目的】
胆道・膵臓領域における造影3D超音波検査(CE 3D US)の撮像法と有用性について報告する.
【対象】
2007年4月から2014年3月までに当教室でCE 3D USを施行し,最終診断が可能であった胆嚢病変44例および膵充実性腫瘤119例を対象とした.なお,最終診断とは病理診断を得た症例,および他画像による1年以上の経過観察で矛盾しない経過を示した症例とした.疾患の内訳は,胆嚢病変(胆嚢癌16例,非腫瘍性ポリープ14例,慢性胆嚢炎13例,黄色肉芽腫性胆嚢炎1例),膵充実性腫瘤(膵管癌93例,腫瘤形成性膵炎13例,神経内分泌腫瘍13例)であった.
【方法】
超音波装置はGEヘルスケア社製LOGIQ 7(4D3CL probe)を使用し,ソナゾイド®0.2ml/bodyを急速静注した後,動脈相(30〜60秒),静脈相(120〜180秒)で自動スキャンによりvolume dataを取得した.造影modeは,背景のB-modeの影響を軽減しうる高音圧mode(MI値0.6-0.9)を使用した.自動スキャンで取得されたvolume dataは,超音波装置に内蔵されたソフトウェアを用いて以下の手法を用いて再構築した.Tomographic ultrasound imaging;CTやMRIの様に,多断面を等間隔に並べ,病変部と非病変部の血流を比較した.Sonographic angiography;血流情報を同一平面上に重ね合わせる事により,病変部の血管の形状を評価した.なお,ソナゾイド®の使用に際して,当院倫理審査委員会の承認を受け,患者の同意を得て検査を施行した.
【結果】
胆嚢病変は,隆起性病変29例と壁肥厚性病変15例に分類して評価を行った.隆起性病変に関して,非腫瘍性ポリープでは細く単一の流入血管を呈する有茎性病変が多く(p<0.05),胆嚢癌では太い流入血管を呈する有茎性病変や,複数の流入血管を持つ広基性病変が多かった(p<0.01).壁肥厚性病変に関して,胆嚢癌では不均一な造影効果を認め,慢性胆嚢炎では均一な造影効果や壁内の無エコー域を認めた(p=0.19).膵充実性腫瘤では,病変部と非病変部の血流の比較,腫瘍血管の形状が診断に有用であった.膵癌では,静脈相で非病変部と比較して乏血性であり,不整な腫瘍血管を認めた(p<0.01).腫瘤形成性膵炎では,動脈相,静脈叢ともに非病変部と同等の微細な血流を認めた(p<0.05).神経内分泌腫瘍では,非病変部より多血性または同等であり,内部に太い腫瘍血管を認めた(p<0.05).
【結語】
胆道・膵臓領域におけるCE 3D USは,撮像法や再構築法の工夫により,各疾患の特徴的な画像を描出でき,鑑別診断に有用であった.