Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム 領域横断 2 Image Fusionは診断能・治療成績をどの様に向上させたか?

(S188)

融合画像による早期肝癌,High grade dysplastic noduleと再生結節の鑑別診断

Differentiation between early HCC including HGDN and regenerative nodule using fusion imaging

沼田 和司1, 杉森 一哉1, 福田 浩之1, 道端 信貴1, 田中 克明1, 前田 慎2, 中野 雅行3

Kazushi NUMATA1, Kazuya SUGIMORI1, Hiroyuki FUKUDA1, Nobutaka DOUBA1, Katsuaki TANAKA1, Shin MAEDA2, Masayuki NAKANO3

1横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター, 2横浜市立大学消化器内科, 3湘南藤沢徳洲会病院病理

1Gastroenterological Center, Yokohama City University Medical Center, 2Gastroenterological Department, Yokohama City University, 3Pathological Department, Shonan Fujisawa Tokusyukai Hospital

キーワード :

【はじめに】
肝腫瘍での融合画像の有用性について検討した.造影CTもしくは造影EOBMRIで検出された病変をリファレンスとし,超音波でそれに一致する病変を検出し,さらに造影超音波検査や腫瘍生検の実施が容易となり,従来は診断困難な15mm前後の病変の診断が容易となった.例えば造影EOBMRIの肝細胞相と超音波の融合画像は,超音波単独,造影超音波単独よりも肝癌,特に1-2cmの小肝癌や非典例肝癌の検出能は向上した(AJR Am J Roentgenol 2012;198: 106-1149).さらに造影CTと造影超音波の融合画像を多血性肝癌のラジオ波治療前と治療翌日に施行し,さらに造影CTと造影超音波を重ねたoverlay画像や肝癌の辺縁部位にGPSマーキングすることで,早期の治療効果判定が可能(Eur J Radiol 2012; 81: 2746-2753).また造影EOBMRIの肝細胞相と造影超音波の融合像で,早期肝癌の血流診断が可能であることを報告した(Eur J Radiol. 2014;83(1):95-102).今回融合画像による早期肝癌(以下early HCC)またはhigh-grade dysplastic nodules(以下HGDN)と再生結節(regenerative nodule,以下RN)の鑑別診断について検討した.
【対象】
融合画像を用いて検出した病変からの生検にて病理学的に診断したearly HCC 100例,HGDN 7例,RN20例(平均腫瘍径15.5mm,15.1mm,14.8 mm)を検討.
【方法】
1)EOBMRI肝細胞相での結節内部の信号強度を周囲と比較し,low,iso,highと判定.
2)GE LOGIQE9 C1-6 convex probeを主に使用.ソナゾイド®0.2cc静注し,動脈相にて腫瘍内の血管走行を観察し,辺縁に血管がはいるperipheral vessels pattern,中心までいった血管が末梢に広がるcentral vessels patternに分類.
【結果】
1)Early HCCではlow signal 96%(96/100),iso 2%(2/100),high 2%(2/100).HGDNではhigh 14%(1/7),low 86%(6/7),RNは全例high signal 100%(20/20).さらに真ん中に小さなlow signalを呈するものは90%(18/20)であり,これは融合画像で超音波の観察で内部に門脈を含む所見(high signal with central high)であった.この所見のときRNである感度90%,特異度99%,正診率98%.
2)Early HCCでは98%(98/100)はperipheral vessel patternであり,残りの2結節(2%)は乏血でcentral vessel pattern.HGDNは7結節全例乏血でperipheral vessel pattern.一方,RNの95%(19/20)は乏血でcentral vessel pattern,残りの1結節(5%)は多血でcentral vessel pattern.central vessels patternのときRNである感度100%,特異度97%,正診率98%.
【考察】
LimらはRN病変をCT arterial portography(CTAP)でみた場合,結節の中心に門脈を認め,CT hepatic arteriography(CTHA)では腫瘍は乏血を呈し,結節内部に動脈を認めたとしており,今回のわれわれの検討の結果と一致していた.さらに融合画像で診断し当科でラジオ波治療を施行したeHCCは同じサイズの進行肝癌より局所再発は有意に少なかった(投稿中).
【結語】
EOBMRI肝細胞相所見と造影超音波動脈相での腫瘍血管の走行パターンはRNとearly HCC(HGDNを含む)の鑑別に有効.