Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム 領域横断 2 Image Fusionは診断能・治療成績をどの様に向上させたか?

(S187)

システムが変える統合画像の真の有用性

Real value of the Image Fusion by changing a system

小川 眞広1, 渡邊 幸信1, 林田 まり子1, 平山 みどり1, 三浦 隆生1, 松本 直樹1, 中河原 浩史1, 森山 光彦1, 長沼 裕子3, 石田 秀明2

Masahiro OGAWA1, Yukinobu WATANABE1, Mariko HAYASHIDA1, Midori HIRAYAMA1, Takao MIURA1, Naoki MATSUMOTO1, Hiroshi NAKAGAWARA1, Mitsuhiko MORIYAMA1, Yuko NAGANUMA3, Hideaki ISHIDA2

1日本大学病院消化器内科, 2秋田赤十字病院超音波センター, 3市立横手病院消化器内科

1Gastroenterology, Nihon University Hospital, 2Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 3Gastroenterology, Yokote Municipal Hospital

キーワード :

【目的】
磁気センサー対応の超音波検査診断装置によるCT,MRIなどのDICOM画像とのリアルタイムで行う同じ断層像での統合画像システムは普及し現在各社で対応可能となっている.これまで当院では使用したい症例のCT,MRIのDICOM画像をCDに出力し検査直前に超音波診断装置に入力し統合画像検査を施行していた.この手法の有用性は理解していたがシステム上使用できる症例が限られていた.今回病院の移転に伴い全画像診断を一括管理する中央サーバーシステムに変更し,超音波画像もCT,MRI画像などの画像と一緒に一括管理とした.具体的には,超音波検査室の全5台の装置を磁気センサー対応装置としオンラインで装置と連結しいつでも中央サーバーからDICOM画像を入力可能なシステムに変更した.これにより過去画像を含め画像比較が可能であり統合画像システムの用途が広がったためその有用性を検証したので報告をする.
【方法】
使用装置:GEヘルスケア社製LOGIQE9,S8,東芝メディカルシステムズ社製APLIO500,日立アロカメディカルAscendus.同日検査を施行した症例および経過観察の症例においては直近のCTまたはMRI画像を患者入れ替えの際に入力し,いつでも統合画像システムが使用可能な状態として検査を行った.造影超音波検査は統合画像診断を行った後に最優先とする領域を決定し拡大画像を用いてSonazoid®の0.5ml/bodyの急速静注で施行した.肝癌に対する穿刺治療に対してはGPS機能を用いると共に一部の症例においては超音波画像の過去画像を用いた統合画像比較をおこなった.
【結果】
超音波の欠点の一つに表示範囲の狭さが挙げられる.統合画像システムはCT,MRIなどの広範囲を描出可能な画像を供覧可能であり超音波検査を行う上での最適断面をアシストすることが可能となる点が大きな利点と考えられた.つまり,穿刺治療においては広い視野を保ち安全なrouteを確保可能となり,診断面においては適切な診断を下すための最適断面が得られやすいということである.単独の画像診断と比較し総合画像診断をおこなうことになるため全ての面において成績は上昇すると考えられる.
【考察】
超音波画像に位置情報が加えられたことにより他画像との比較が容易となると共に単なる画像比較からソフトの改良により多様化が期待出来る領域となったと考えられた.問題となるのは時間的な問題と考えられるが,システムを変更することで過去画像を含めて患者の入れ替え時に入力出来るようになった他,検査終了後の他画像比較や検査のやり直しなどが減るためにトータルとして考えると大きな時間の損失はないと考えられた.むしろ早く超音波検査を終わらせなくてはいけないという概念を変えることも需要であり,超音波専門医が総合画像診断をリアルタイムに行う精密検査的な意味合いを加えることが重要と考えられた.
【結語】
超音波検査の統合画像システムはリアルタイムでの総合画像診断が可能となるため,診断・治療共に有用な手法になると考えられた.