Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 運動器
運動器2 

(S694)

関節超音波におけるパワードプラとSMIの血流評価に関する検討

Comparison of Superb Microvascular Imaging and conventional Power Doppler for the detection of blood signals in the affected synovial membrane

谷口 真由美1, 畠 二郎2, 竹之内 陽子1, 岩井 美喜1, 麓 由起子1, 岩崎 隆一1, 妹尾 顕祐1, 今村 祐志2, 眞部 紀明2, 春間 賢3

Mayumi TANIGUCHI1, Jiro HATA2, Yoko TAKENOUCHI1, Miki IWAI1, Yukiko HUMOTO1, Ryuichi IWASAKI1, Kensuke SENOH1, Hiroshi IMAMURA2, Noriaki MANABE2, Ken HARUMA3

1川崎医科大学附属病院中央検査部, 2川崎医科大学検査診断学, 3川崎医科大学消化管内科学

1Department of Clinical Laboratory, Kawasaki Medical School Hospital, 2Divison of Endoscopy and Ultrasound, Department of Clinical Pathology and Laboratory Medicine, Kawasaki Medical School, 3Division of Gastroenterology, Department of Internal Medicine, Kawasaki Medical School

キーワード :

【はじめに】
非侵襲性で低コストな関節超音波は疾患の活動性評価や治療効果の判定に有用とされている.関節病変の炎症の程度については血流シグナルの多寡で評価しているが,通常は角度依存性がなく,低流速の感度が良い点からパワードプラ法(以下PD)が広く用いられている.一方新しい血流評価法としてモーションアーチファクトを低減させ,低流速血流を高分解能,高フレームレートで捉えるSuperb Microvascular Imaging(以下SMI)が市場化され,関節リウマチの早期診断や治療方針の決定などにおける有用性が期待されている.
【目的】
関節超音波におけるPDとSMIの血流検出能を比較検討する.
【対象および方法】
症例は関節超音波の依頼があった関節リウマチ10例(男性1例,女性9例),リウマチ多発筋痛1例,多関節炎1例,関節痛1例(いずれも女性)の13例(平均年齢56.3±11.7歳).対象関節はMCP関節,PIP関節,手関節の全21関節.使用機種は東芝社製Aplio(TUS-A500),プローブは12MHzリニアプローブ(PLT-1204BT)である.検査は関節超音波の経験年数3年の技師4名が施行.グレースケール法,PD,SMIの順に観察し,PD,SMIは同一関節で血流シグナルが最大となる画像を撮像した.グレースケール上の病変面積内に占める血流シグナルの面積比をvascularity ratio(VR:血流画素数/関節腔画素数(%))として算出した.なおPDのvascularity ratioをPDVR(%),SMIのvascularity ratioをSMIVR(%)とした.
【結果】
各関節のPDVRとSMIVRはγ=0.7096と有意な正の相関を認めた(n=21,p<0.01).全体的にPDVRが低い病変ではSMIVRの方がPDVRより高値となり,PDVRが高い病変ではSMIVRの方がPDVRより低値となる傾向が認められた.
PDで描出された血管はSMIでも描出されていたが,PDの方がよりブルーミングが強い画像であった.逆にSMIで描出された血管は必ずしもPDで描出されるとは限らなかった.
【考察】
SMIの方が血流検出の感度が優れていた.PDとSMIには相関関係が認められたが,より活動性の低い病変ではSMIの方がより鋭敏に血流を検出するためVRは高値となり,一方活動性の高い病変ではブルーミングの少ないSMIの方がVRは低値となると考えられた.上記を言い換えれば,SMIに比してPDは軽症例を過小評価し,中等症以上の症例を過大評価する可能性があると思われる.従って,SMIは今後関節病変のより正確な評価法として期待されるが,その臨床的有用性の確立は,他の所見,経時的変化等を含めた多数例の検討によってなされるべきである.