Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 血管
腹部血管・動脈 

(S688)

上腕動脈壁厚は動脈硬化の指標になりえるか?

Is the brachial artery thickness a risk of atherosclerotic burden?

寺川 宏樹1, 藤井 雄一1, 上田 智広1, 野村 秀一2, 小田 康子3, 河村 道徳3

Hiroki TERAGAWA1, Yuichi FUJII1, Tomohiro UEDA1, Shuichi NOMURA2, Yasuko ODA3, Michinori KAWAMURA3

1広島鉄道病院循環器内科, 2広島鉄道病院総合内科, 3広島鉄道病院臨床検査室

1Department of Cardiovascular Medicine, Hiroshima General Hospital of West Japan Railway Company, 2Department of General Physician, Hiroshima General Hospital of West Japan Railway Company, 3Department of Clinical Examination, Hiroshima General Hospital of West Japan Railway Company

キーワード :

【目的】
動脈硬化性疾患は,脳,冠動脈,大動脈,下肢動脈に高頻度に生じるものの,動脈硬化は上腕動脈を含む全身の動脈に起こり得る変化である.近年,上腕動脈壁厚が自動的に測定できるようになったため,今回自施設における上腕動脈壁厚と他の動脈硬化指標との関連を検討した.
【方法】
当院にて虚血性心疾患の精査にて入院した107例(平均年齢66歳,男性71例)を対象とした.各症例においてユネクスイーエフを用いて血管内皮機能(FMD)を評価し,その際に上腕動脈内膜中膜複合体径(b-IMT)を自動的に測定した.従来の冠危険因子,メタボリック症候群の有無,慢性腎臓病(CKD)の有無,頚動脈エコー法における総頚動脈内膜中膜複合体径(c-IMT),足関節上腕index(ABI)とb-IMTとの関連を検討した.
【結果】
b-IMTは0.33±0.11 mmであった.b-IMTは年齢と正の相関し(r = 0.191,p = 0.0485),男性で高値であった(0.36±0.11 vs.女性:0.28±0.09 mm, p = 0.0035).また,糖尿病の有無と相関する傾向を認め(0.36±0.10 mm vs. non-DM: 0.32±0.11 mm, p = 0.0788),CKD合併例で有意に高値であった(0.37±0.13 mm vs. 0.31±0.09 mm, p = 0.0104).FMDと負の相関(r = -0.289,p = 0.0025),c-IMTと正の相関(r = 0.369,p<0.0001),ABIと負の相関(r = -0.259,p = 0.0072)を認めた.
【総括】
b-IMTは冠危険因子が存在すれば増大し,c-IMTやABIとも有意な相関を認めた.上腕動脈壁厚は動脈硬化の指標になりえる可能性が高いと考えられた.