Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 血管
腹部血管・動脈 

(S687)

腸骨動脈閉塞病変に対する心腔内プローブを用いたUSガイド下経皮的血管形成術の1例

Percutaneous angioplasty using intracardiac ultrasound probe for chronic total occlusion of iliac artery

森 宣, 本郷 哲央, 徳山 耕平, 亀井 律孝, 清末 一路

Hiromu MORI, Norio HONGO, Kohei TOKUYAMA, Noritaka KAMEI, Hiro KIYOSUE

大分大学医学部臨床医学系放射線医学講座

Department of Radiology, Oita University Faculty of Medicine

キーワード :

【背景】
腸骨動脈狭窄・閉塞病変に対する経皮的血管形成術は近年普及しており,多くの病変では経皮的血管形成術が第1選択である.しかしながらX線透視下の血管形成術は血管とガイドワイヤーとの位置関係の把握が難しい場合があり,特に長区域の閉塞病変では大動脈解離や破裂,腸骨動脈穿孔などの重篤な合併症の報告がある.今回我々は総腸骨動脈起始部から外腸骨動脈の広範囲閉塞を伴う病変に対して,心腔内超音波プローブを腸骨静脈内へ挿入し腸骨動脈をモニターしながらガイドワイヤー操作を行い,安全に治療が行えた症例を経験したので報告する.
【症例】
80歳台男性 数年前より右下肢のしびれ,冷感,間歇性跛行が認められており,保存的治療が行われていたが,症状の改善が無いため当科へ紹介となった.
造影CTでは右総腸骨動脈起始部から外腸骨動脈遠位部にかけての広範囲の閉塞が認められた.ABIは右0.57,左0.81.左上腕動脈および右総大腿動脈からの双方向アプローチにて手技を行った.腸骨静脈内に留置した心腔内超音波プローブで,腸骨動脈を長軸方向にモニターしながらガイドワイヤーを進めpull-throughとした.その後遠位塞栓防止のため,右総腸骨動脈に7Fバルン付きシースを挿入し,バルンプロテクション下にPTAを施行した.右総腸骨動脈にballoon expandable stent 8mm/37mm,右外腸骨動脈にself-expandable stent 8mm/10cmを留置し,後拡張の上手技を終了した.
プロテクションバルンに比較的大きな血栓が補足,回収された.合併症なく手技は終了し,治療後症状の著しい改善を認めた.右側のABIは1.0へ上昇した.
【結語】
腸骨静脈内に挿入した心腔内超音波プローブによる観察は病変にカテーテルを挿入することなく,長軸方向に総腸骨動脈がリアルタイムに観察が可能である.心腔内超音波プローブを用いた超音波ガイド下血管形成術は腸骨動脈閉塞病変に対する経皮的血管形成術の安全性および実行可能性を向上させる可能性がある.