Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 血管
静脈2 

(S685)

3Dプリンター試作アタッチメントを用いた鎖骨下静脈中心静脈カテーテル留置の試み

Subclavian approach for central venous catheter by using prototype attachment manufactured with 3D printer technology

阪上 順一1, 2, 保田 宏明1, 2, 十亀 義生1, 坂井 貴光1, 加藤 隆介2, 土井 俊文2, 三宅 隼人2, 片岡 慶正2, 伊藤 義人2

Junichi SAKAGAMI1, 2, Hiroaki YASUDA1, 2, Yoshio SOGAME1, Takamitsu SAKAI1, Ryusuke KATO2, Toshifumi DOI2, Hayato MIYAKE2, Keisho KATAOKA2, Yoshito ITOH2

1京都府立医科大学中央診断部超音波室, 2京都府立医科大学消化器内科

1Section of Ultrasonography, Medical Examination Center, Kyoto Prefectural University of Medicine, 2Department of Gastroenterology and Hepatology, Kyoto Prefectural University of Medicine

キーワード :

【背景】
中心静脈カテーテル挿入には,鎖骨下静脈・内頸静脈・肘静脈・大腿静脈のいずれかからのアプローチを行う.この中で,患者の違和感や感染リスクが少ないアプローチは鎖骨下静脈であるため,なるべく鎖骨下静脈からの中心静脈挿入を行いたいと考えている.しかし,鎖骨下静脈の盲目的穿刺特有の偶発症として気胸や動脈誤穿刺がある.医療安全,人員節減の観点から,当科では2006年から鎖骨下静脈中心静脈カテーテル(CVC)留置を超音波ガイド下長軸法ワンマンメソッドで実施してきた.既存の超音波ガイドアタッチメントではしばしば静脈との角度が鈍角化して刺入困難なことがある.
【目的】
われわれは,自由角度が可能な超音波ガイドアタッチメントを,3Dプリンターを用いて試作した.3Dプリンター試作アタッチメントの制作過程を示し,その有効性と制限について報告する.
【対象と方法】
基礎的検討として,既存の鎖骨下静脈CVC留置を実施した106例の留置困難例の検討を行い,3Dプリンター試作アタッチメントの制作を行った.
【成績】
既存法によると右鎖骨下アプローチ94例,左12例で,平均穿刺回数は右で1.3回,左で1.5回であった.留置失敗例は6例(全体の5.7%)であり,うち1例は緊張性気胸の偶発症をみた.主な失敗原因は静脈虚脱で静脈との角度が鈍角になるため刺入に至らないことであった.そこで,自由角度が可能な超音波ガイドアタッチメントを,3Dプリンターを用いて試作した.試作1号は,やや軸ぶれが大きいこととEOG滅菌にて軽度の歪みが起こることが判明したため,軸ぶれ修正と耐熱性を持たせた試作2号を完成した.試作2号にて既存法で留置困難が予想される症例に偶発症なく良好な留置成績をえている.3Dプリンター試作アタッチメントの制作は短時間,低コストであるため,欠点をすぐに修正できる利点がある.制限としては,アタッチメント部分の増加により,プローブ越しに穿刺針を左手で把持しにくい問題点があげられた.
【結論】
3Dプリンター試作アタッチメントを用いた鎖骨下静脈中心静脈カテーテル留置は既存の方法で留置困難が予想される症例に適応できる可能性があり,さらなる改良に取り組みたい.