Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 腎泌尿
腎泌尿器1 

(S674)

前立腺肥大症の超音波エラストグラフィ像

Ultrasound elastography for benign prostate hypertrophy

落合 厚1, 沖原 宏治2, 鴨井 和実2

Atsushi OCHIAI1, Koji OKIHARA2, Kazumi KAMOI2

1愛生会山科病院泌尿器科, 2京都府立医科大学泌尿器科

1Urology, Aiseikai Yamashina Hospital, 2Urology, Kyoto Prefectural University of Medicine

キーワード :

【はじめに】
前立腺癌診断におけるエラストグラフィの有用性が報告されているが,経直腸プローブ操作や前立腺肥大症によるアーチファクトの発生がその診断精度に影響を与えている.また,Zonal anatomyに基づいた4つの領域を認識した上で評価を行うことが必須となるが,移行領域のエラストグラフィ像について明確な評価基準がなく,その診断を困難にしている.今回,移行領域の肥大結節に関して,前立腺容積別にエラストグラフィ像を評価・検討した.
【対象と方法】
2013年に経直腸的超音波エラストグラフィを施行した症例の中で,臨床的に前立腺癌なしと診断された72例を対象とした.年齢の中央値(範囲)は69歳(48-85歳),PSAの中央値(範囲)は5.6ng/ml(1.5-22.3ng/ml).エラストグラフィはバルン法(Real-time balloon inflation elastography: RTIE)を用いた.前立腺容積を計測し,容積階層別に移行領域のエラストグラフィ像を評価した.
【結果】
前立腺容積の中央値(範囲)48.4cc(18.6-136.9cc)であった.前立腺容積別に30cc以下13例,30-50cc 23例,50-80cc 23例,80cc以上13例の4群に分類した.移行領域のstrainが均一である割合は76%,78%,30%,8%であった.不均一でかつ非対称なstrainである割合は0%,4%,30%,33%であった.エラストグラフィ画像が得られない領域が存在する割合は8%,9%,26%,58%であった.
【考察と結論】
前立腺エラストグラフィを用いた癌診断にはstrainの不均一性,左右非対称性を評価するが,移行領域のエラストグラフィ像は前立腺容積に影響され,容積増加により癌でない場合にもstrainの不均一性,非対称性を呈する頻度が高くなる.容積変化に伴う正常パターンを認識することは,前立腺癌の診断に有用であると考えられた.