Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 甲状腺
甲状腺・副甲状腺 

(S672)

慢性甲状腺炎の診断におけるQuantitative shear wave elastographyの有用性

Utility of quantitative shear wave elastography in diagnosing chronic thyroiditis

松田 枝里子, 福原 隆宏, 堂西 亮平, 北野 博也

Eriko MATSUDA, Takahiro FUKUHARA, Ryohei DONISHI, Hiroya KITANO

鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野

Department of Otolaryngology-Head and Neck Surgery, Tottori University Faculty of Medicine

キーワード :

【目的】
Virtual Touch Quantification(VTQ)は,音響放射圧によって剪断弾性波(Shear Wave)を発生させ,その伝搬速度(Shear Wave Velocity:SWV)を測定することで,組織の硬さを定量化することが可能となっている.しかし,甲状腺疾患に対する有用性は明らかになっていない.このたびわれわれは,慢性甲状腺炎の診断におけるVTQの有用性と慢性甲状腺炎におけるSWVに影響する因子について検討をおこなった.
【対象】
2011年11月から2014年10月の間に当科の甲状腺超音波検査でVTQを施行した症例のうち,正常甲状腺の253例と慢性甲状腺炎の150例を対象とした.
【方法】
装置はシーメンス社製ACUSON S2000を使用し,測定部位は甲状腺の右葉または左葉とした.同一部位にてSWVを5回測定し,その平均値を2群間で比較した.さらに慢性甲状腺炎においては,SWVと自己抗体価(抗甲状腺ペルオキシターゼ抗体,抗サイログロブリン抗体),峡部の厚さとの関連の有無を検討した.
【結果と考察】
SWVは,正常甲状腺:1.60±0.42m/s,慢性甲状腺炎:2.48±0.57m/sであり,慢性甲状腺炎は正常甲状腺と比較し有意に高値であった(P<0.001).カットオフ値を2.04m/sとすると,感度82.5%,特異度83.4%であった.慢性甲状腺炎のSWVと各検査所見との検討では,SWVと峡部の腫大には中程度の相関がみられ,峡部の厚さが増すほどSWVが高値となる傾向にあった.自己抗体価とは明らかな関連はみられなかった.
【結語】
甲状腺においてVTQは,慢性甲状腺炎の診断の補助となる可能性が示唆された.一方で病勢についての評価としては,さらに検討が必要と思われた.