Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 甲状腺
甲状腺・副甲状腺 

(S671)

頸部超音波検査で偶然発見された副甲状腺腺腫

Parathyroid adenomas incidentally detected by ultrasound examinations

村上 司1, 檜垣 直幸1, 西嶋 由衣1, 中村 友彦1, 野口 仁志1, 谷 好子2, 衛藤 美佐子2, 古屋 華乙璃2, 野口 志郎3

Tsukasa MURAKAMI1, Naoyuki HIGAKI1, Yui NISHIJIMA1, Tomohiko NAKAMURA1, Hitoshi NOGUCHI1, Yoshiko TANI2, Misako ETO2, Kaori FURUYA2, Shiro NOGUCHI3

1野口病院内科, 2野口病院研究検査科, 3野口病院外科

1Department of Endocrinology, Noguchi Thyroid Clinic and Hospital Foundation, 2Department of Laboratory Medicine, Noguchi Thyroid Clinic and Hospital Foundation, 3Department of Endocrine Surgery, Noguchi Thyroid Clinic and Hospital Foundation

キーワード :

【目的】
原発性副甲状腺機能亢進症(pHPT)の大部分は副甲状腺腺腫によるものであり,無症候のうちに高Ca血症を契機に診断されることが多いとされている.超音波検査やCTなどの画像検査によって偶然に副甲状腺腫を指摘されることもあると推測される.
【対象と方法】
2009年7月から2014年10月に手術を受けた散発性pHPTの191例について診療録の記載に基づいて診断の契機を調べた.画像検査が診断の契機になった例についてその臨床像を検討した.
【結果】
画像検査がpHPT診断の契機となった症例は19例(9.9%)であった.年齢は34〜70歳(中央値59歳).女性17例,男性2例.19例中2例はCTで甲状腺結節を指摘され,後でUSにて副甲状腺腫を指摘された.13例はUSで甲状腺結節を疑われて紹介受診し,当院のUSで副甲状腺腫を指摘された.残りの4例は種々の理由で行ったUSで偶然に副甲状腺腫を指摘された.実際に甲状腺に所見を伴った症例は15例で,うち3例は乳頭癌で副甲状腺腫と同時に切除された.副甲状腺腫は術後に全例で腺腫と診断された.局在部位は右上4例,右下5例,左上7例,左下3例.摘出した腺腫の重量は352〜4084 mg(中央値987mg)であった.入院時の補正Ca,intact PTHは9.7〜11.6 mg/dl(中央値10.6 mg/dl),78.3〜208.8 pg/ml(中央値149.7 pg/ml)であった.
【考察】
散発性pHPTの約10%の症例が画像検査で偶然に副甲状腺腫を発見されて診断に至っていた.これらは最初の検査の時に血清Caが測定されなかった症例とも言えるが,検診の超音波検査や頸動脈超音波検査の際には血清Ca値が未知の場合も多いと思われる.一方,pHPTには甲状腺疾患の合併が多いこともよく知られており,超音波検査で甲状腺結節と副甲状腺腫との鑑別が困難な場合があると思われる.pHPTは適切な手術によって治癒に導ける疾患なので,超音波検査で副甲状腺腫を見落とさないことが重要である.