Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 甲状腺
甲状腺 

(S669)

当院における濾胞腺腫と濾胞癌の超音波検査所見の検討

A review of the ultrasound findings difference between follicular carcinoma and follicular adenoma in Nihon University School of Medicine

前田 哲代, 櫻井 健一, 榎本 克久, 平野 智寛, 原 由起子, 和賀 瑛子, 鈴木 周平, 長島 沙樹, 天野 定雄

Tetsuyo MAEDA, Kenichi SAKURAI, Katsuhisa ENOMOTO, Tomohiro HIRANO, Yukiko HARA, Eiko WAGA, Shuhei SUZUKI, Saki NAGASHIMA, Sadao AMANO

日本大学医学部附属板橋病院外科学系乳腺内分泌外科

Division of Breast and Endocrine Surgery, Department of Surgery, Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital

キーワード :

【背景】
甲状腺広汎浸潤型濾胞癌では形状不整,境界不明瞭,内部不均一などの悪性所見を呈することがあるが,微小浸潤型濾胞癌と濾胞腺腫は,境界明瞭,内部均一な形状整の結節として描出されることが多く,超音波検査での良悪性の鑑別は困難であると言われている.良悪性の鑑別に腫瘍内のvascularizationやpulsatility index(PI)やresistance index(RI)を測定することも有効であると報告されている.
【目的】
甲状腺濾胞性疾患の超音波検査による鑑別方法を検討する.
【対象】
2007年1月から2014年9月までに手術を施行され,濾胞腺腫または濾胞癌と診断された41症例のうち,予後が明らかな31症例を対象とした.
【方法】
対象症例の術前超音波所見を再検討し,病理組織所見と比較検討した.
【結果】
濾胞癌は4例,濾胞腺腫は27症例であった.濾胞癌の超音波所見は,形状不整2例,整2例,境界不明瞭粗雑2例,明瞭平滑2例,内部エコーが低濃度2例,等濃度2例,内部エコー不均一1例,均一3例,微細高エコー0例,境界部低エコー帯無し又は不整3例,整1例,peripheral vascularization 2例,intranodular vascularization 1例,不明1例であった.濾胞腺腫の超音波所見は,形状不整1例,整26例,境界明瞭平滑27例,内部エコー低〜等濃度7例,等〜高濃度20例,内部エコー不均一8例,均一19例,境界部低エコー帯無し又は不整6例,整21例,peripheral vascularization 18例,intranodular vascularization 6例,不明3例であった.RIやPI値の測定をしている症例は1例もなかった.術前に濾胞癌が疑われたが,術後濾胞腺腫と診断された症例が1例,その逆が1例認められた.
【結語】
濾胞癌症例の超音波所見で悪性所見を示す症例は少なく,画像診断だけでなく細胞診を施行するなどして,総合的に良悪性の判断をする必要があると考えられた.今後,判断に迷うような症例の場合は,血流情報やRI, PI値などを測定して精度を高める必要があると考えられた.