Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 乳腺
乳腺造影 

(S664)

済生会日田病院におけるソナゾイド®乳腺造影超音波検査の診断手順

Diagnostic procedure of contrast-enhanced ultrasonography of mammary gland using Sonazoid® in the Saiseikai Hita Hospital

吉村 昭宏1, 原口 未奈子1, 千崎 正教1, 尾崎 邦博2

Akihiro YOSHIMURA1, Minako HARAGUCHI1, Masanori SENNZAKI1, Kunihiro OZAKI2

1大分県済生会日田病院臨床検査部, 2大分県済生会日田病院乳腺外科

1Clinical inspection section, 2Breast Surgery, Saiseikai Hita Hospital

キーワード :

【はじめに】
2012年8月,超音波診断用造影剤「ソナゾイド®」の乳腺腫瘍性病変への適応が保険収載された.ソナゾイド®はその造影パターンにより良性,悪性の診断補助となりうるとされている.しかし,現状は肉眼的な造影パターン認識が主な判断方法となっており客観的根拠に乏しい.そこでわれわれは,Time intensity curve(以後TIC)に着目した.また当院ではこの検査を術前検査と位置づけ腫瘍の観察後,肝臓のKupfferイメージの観察を行うことで転移病変の検索も同時に実施することとした.
【方法】
・装置:日立アロカ社製Prosoundα10,
Ascendus 造影モード:CHE,PI, AM,プローブ:5412,L52, MI:0.20,フォーカスポイント:腫瘍最深部.
・ソナゾイド®注入方法:使用書に基づき懸濁液を作成する.調整後2時間以内に体重1Kg当たり0.015mLを過度の圧力が掛からないよう注意し静脈より注入する.
・手順:ソナゾイド®注入前にBモードにより腫瘍形状を,eFlowにより新生血管の構築を予測し最も観察に適している断面を決定する.ソナゾイド®注入→1分間,目標断面固定観察→腫瘍全体像を観察→3分以後,加算画像で血管構造を確認→10分以後,肝臓全体観察.→観察不十分な部位へ再注入.
・記録:装置ハードディスクへの記録(ラインデータ),DVDへの記録.
【TIC評価方法】
①腫瘍全体②濃染域③不染域にそれぞれROIをおきTICを描く.二峰性のTICの場合,注入後最初の立ち上がりまでの時間をT0,最高輝度時をT1,変曲点を持つ下行点をT2,としこれらに対応する輝度をD0〜D2とする.時間的な輝度変化で評価するためにそれぞれのポイントの輝度差÷時間経過をWash in slope(以後WIS),Wash out slope(以後WOS)とした.二峰性を示す変曲点が不明瞭な場合は60秒後の輝度をもって参考値とする.
【結果】
乳房超音波診断ガイドライン,改訂第3版で示されたソナゾイド®造影超音波における良悪性判断基準では客観性に乏しく臨床応用に際し判断に苦慮する場合がある.
腫瘍血管の構造とTICのWIS,WOSを評価することで客観性を確保する.
【考察】
ソナゾイド®造影検査におけるTICの評価は客観的指標となりうる事が期待できる.