Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 乳腺
乳腺造影 

(S664)

乳房温存術における乳房造影超音波検査の有用性

The efficacy of Contrast enhanced ultrasonography for breast conserving surgery

加賀 輝美1, 田村 悦哉1, 大村 雅子1, 髙田 裕美子1, 竹田 千恵1, 後藤 浩実1, 阿部 厚憲2

Terumi KAGA1, Etuya TAMURA1, Masako OOMURA1, Yumiko TAKADA1, Tie TAKEDA1, Hiromi GOTOU1, Hironori ABE2

1社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院臨床検査科, 2社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院外科

1Department of Clinical Laboratory, Social Welfare Corporation Hokkaido Social Wark Association, Obihiro Hospital, 2Department of Surgery, Social Welfare Corporation Hokkaido Social Wark Association, Obihiro Hospital

キーワード :

【はじめに】
当院では乳癌の術前に乳房造影超音波検査(CEUS)で広がり診断を行ったうえで術式の決定を行っている.今回,我々は乳癌の乳房温存術を行った症例に対しCEUSの有用性の検討を行ったので報告する.
【対象】
2013年11月から2014年11月の間にCEUSを施行し,乳房温存術を施行した17名18例(以下CEUS群)と2011年5月から2013年1月の間にUSを施行後に乳房温存術を行った20名20例(以下non CEUS群)を対象とした.
【方法】
CEUSの染影の広がりから乳頭方向とその直交方向のそれぞれの大きさ,NT,皮膚からの深さを計測し,これを元に切除範囲を決定した.切除断端に対し5mm以内に腫瘍成分を認めた例を断端陽性としCEUS群とnon CEUS群の断端陽性例の比較検討を行った.
更にCEUSとUSの腫瘤サイズに差を認めた症例の検討も併せて行った.
【結果】
CEUS群18例のうち,断端陽性となったのは2例(断端陽性率11.1%)であった.non CEUS群20例のうち断端陽性となったのは5例(断端陽性率25.0%)であった.
断端陽性となった症例の断端成分はCEUS群では2例とも主病変と連続性のないDCIS(乳管内進展)であった.non CEUS群では主病変と連続するDCIS(乳管内進展)が3例,マンモトーム生検後に残存したDCISが1例,結節性の腫瘍が断端5mm以内に存在した例が1例であった.
CEUS群のうち,USでの腫瘤範囲との差を明瞭に認めた例は3例あった.1例はUSで主病変と連続する低エコー域を認めたがCEUSでは同部位は不染影であった例,2例はUSで病変として認識出来た範囲より広い染影を認めた例であった.それぞれ病理診断で病巣の範囲と一致した.
【考察】
CEUS群で断端陽性となったのは主病変と連続性のない病変を伴った例であり,USでも同部位に所見を指摘していない.このような場合はCEUSを用いた広がり診断は困難であると考えられた.
USとCEUSとの間に腫瘤範囲の差を認めた症例は術前化学療法後に腫瘤が縮小し境界が不明瞭となった例や主病変と連続する乳管内進展のような症例であった.このような場合CEUSを行う事は切除範囲を決定する上で特に有用であると考えられた.