Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 産婦人科
母体・婦人科 

(S655)

経腟超音波検査にて卵巣腫瘍を疑い,CT・MRIで骨盤腎と診断された一例

One case that was suspected ovarian tumor by transvaginal ultrasonography and was diagnosed with pelvic kidney by CT and MRI

岸本 倫太郎, 梁 栄治, 瀬戸 理玄, 櫻井 理奈, 鎌田 英男, 手島 映子, 松本 泰弘, 木戸 浩一郎, 綾部 琢哉

Rintaro KISHIMOTO, Eiji RYOU, Michiharu SETO, Rina SAKURAI, Hideo KAMATA, Eiko TESHIMA, Yasuhiro MATSUMOTO, Kouichiro KIDO, Takuya AYABE

帝京大学医学部附属病院産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Teikyo University School of Medicine

キーワード :

【緒言】
腎臓は発生期において骨盤内から上昇するが,上昇が起こらず骨盤内に留まったものを骨盤腎と言う.骨盤腎は尿管腎盂移行部閉塞,膀胱尿管逆流,多嚢胞性腎のリスクが高いが,症状がなければほとんど見つからず,一生を終えることも多いと言われている.一方,経腟超音波検査は現在婦人科外来で最初に行う検査となり,頻用されるようになった.今回我々は,経腟超音波検査で骨盤内腫瘤を認め,卵巣腫瘍を疑い,精査のために行ったCT,MRIで骨盤腎と診断された症例を経験したので報告する.
【症例】
52歳.0回経妊0回経産.50歳時に閉経している.閉経後の不正性器出血を主訴に来院.帯下は赤色中等量であり,持続する出血は認めなかった.経腟超音波検査では子宮には明らかな異常は認めなかったが,骨盤内右方にやや高輝度エコーが中央にある6cm大の楕円形の腫瘤を認めた(図).非典型的な腫瘍であり,卵巣腫瘍や腸管の腫瘍を疑い,精査の方針とした.腫瘍マーカーはCEA 0.7ng/ml,CA19-9 6.2U/ml,CA125 15.4U/mlで上昇なし.MRIを施行したところ,骨盤腎が疑われた.問診し直したところ,20年前から腰痛があるとのことだった.あらためて経腟超音波検査を行い,腫瘤は腎臓様の形態であることが確認された.泌尿器科に紹介.尿検査では明らかな異常所見なし.尿潜血もなく,尿路結石も否定的であった.CTでは右骨盤腎を認め,左腎臓もやや下降していた.今回の受診までも腎機能の異常は指摘されたことはなく,今回の検査でも腎臓の大きさ,機能には問題なかったため,経過観察となった.子宮内膜生検では明らかな異型は認めず,内膜増殖性変化も認めなかった.その後,性器出血は自然に消失したため,萎縮性腟炎による出血と推定し,経過観察とした.
【結語】
骨盤腎は比較的稀な疾患と言われてきた.しかし,今回の症例のように経腟超音波検査の頻度の上昇に伴って,婦人科外来で発見される例が増加することも予想される.経腟超音波検査で発見される骨盤内腫瘤の鑑別診断に,婦人科領域,外科領域以外のものとして,骨盤腎があることに留意することが望まれる.