Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 産婦人科
スクリーニング 

(S646)

妊娠中4回の胎児超音波検査で得た器官系別異常検出率と検査時期毎の有所見率

Detection rate of fetal malformations and each finding rate in four times ultrasonic screening

吉田 英美, 芳野 奈美, 大川 朋子, 内田 純子, 下本 知子, 磯部 美苗, 井上 アキ, 竹村 秀雄

Emi YOSHIDA, Nami YOSHINO, Tomoko OKAWA, Jyunko UCHIDA, Tomoko SHITAMOTO, Minae ISOBE, Aki INOUE, Hideo TAKEMURA

小阪産病院医療技術部超音波室

Department of Ultrasound, KOSAKA WOMENS HOSPITAL

キーワード :

【目的】
当院はローリスク分娩を主に取り扱いハイリスク例は母体や新生児搬送で高次医療施設に依頼している.超音波室では日超医認定の検査士7名が全妊産婦を対象に妊娠中4回の胎児超音波スクリーニング検査を行っている.今回超音波検査による胎児形態異常検出率とスクリーニングの時期別の有所見率,疾患内容について検討した.
【方法】
2004年から2013年の10年間に当院で超音波スクリーニング(妊娠初期10〜13週,中期Ⅰ18〜21週,中期Ⅱ26〜29週,後期34〜37週)を行った19435例を対象とした.胎児形態異常を中枢神経系,顔面・頸部,胸部,心臓・大血管系,消化器系,泌尿・生殖器系,四肢・骨格系,その他の8項目に分類し10年間の胎児形態異常検出率と各検査時期別の有所見率を算出しその疾患の内容について検討した.判定方法については出生前に超音波検査で異常を指摘し出生後の診断と一致した場合を検出とした.
【結果】
全症例19435例中形態異常児の総数は765例(有病率3.94%)でそのうち出生前に検出できたのは451例(検出率59.0%)であった.8項目に分類した胎児形態異常の出生前検出率は中枢神経系95.9%,顔面・頸部54.2%,胸部90.0%,心臓・大血管系40.9%,消化器系71.1%,泌尿・生殖器系94.6%,四肢・骨格系30.8%,その他80.0%であった.各検査時期別の有所見率は,初期0.55%,中期Ⅰ0.56%,中期Ⅱ0.64%,後期0.75%であった.
【考察】
初期には予後不良の疾患,中期Ⅰでは四腔断面に異常をきたす心疾患の検出率が高く,中期Ⅰで検出出来なかった重症心疾患など母体搬送を必要とする症例は中期Ⅱまでの検出率が高かった.妊娠後期になって増悪する異常や正常像から変異の少ない小奇形は後期の検査で検出されることが多く4回のスクリーニングはそれぞれの時期に応じた役割を果たしている.日本産婦人科医会の統計では出生前の胎児奇形発見率は58.2%(有病率2.43%)と報告されており当院の検出率はほぼ同様であるが有病率は3.94%であった.一方当院の周産期死亡率は二年連続1.1と全国平均の約四分の一である.これは早産予防,分娩管理の改善等も含めた総合的成果であるが,超音波検査士による系統的な4回のスクリーニング体制を継続して行ってきた事もその成績に寄与しているものと思われる.