Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 産婦人科
スクリーニング 

(S645)

妊娠のごく初期のNT計測には意義があるか

Is NT measurement before 11 weeks of gestation useful?

中村 靖1, 宋 美玄1, 紀平 力1, 2, 千葉 淑恵1, 新川 裕美1, 田村 智英子1

Yasushi NAKAMURA1, Mihyon SONG1, Chikara KIHIRA1, 2, Yoshie CHIBA1, Hiromi ARAKAWA1, Chieko TAMURA1

1胎児クリニック東京, 2榊原記念病院産婦人科

1None, Fetal Medicine Clinic Tokyo, 2Obstetrics, Sakakibara Memorial Hospital

キーワード :

【目的】
妊娠のごく初期の段階におけるNuchal Translucency(NT)肥厚に臨床的意義があるかについて検討する.
【方法】
2013年10月から2014年11月までの間に,他院で胎児頭殿長が45mmに満たない時期にNT肥厚・胎児後頸部浮腫を指摘された後,本来NT計測をおこkなうべき時期に当院を受診した47例を対象とし,当院における検査結果および妊娠転帰について,後方視的に調査を行った.なお,当院における検査はすべて,十分な時間をかけた遺伝カウンセリングの過程を経て,インフォームドコンセントを取得したのちに行っている.
【成績】
47例中,胎児後頸部が確認できる超音波画像がプリントされたものを渡されていたものは18例と半数以下にとどまっていた.そのうち11例では,後頸部透亮像の肥厚所見があり,うち6例はそれ以外の部位にも浮腫が見られた.この6例中4例には染色体異常が認められ,他の1例には心奇形があり,もう1例は染色体正常であったが,左胸水が残存している.47例中24例は当院での計測ではNT肥厚はなかったが,うち2例において,他の所見をもとに染色体検査を行った結果,異常(Trisomy 21,Trisomy 18)が発見された.
【結論】
少なくとも診断基準のない現状では,明らかに後頸部以外の部分にまで渡る浮腫があるようなケースを除いて,NT肥厚様にみえる所見について臨床的意義はあまりないようである.しかし,それと同時にNT肥厚が目立たなくなるケースでも,その他の所見をもとに染色体異常が発見されることがあり,注意が必要であることがわかった.