Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児心臓② 

(S633)

完全大血管転位における冠動脈走行の出生前評価

Sonographic assessment of fetal coronary artery in fetuses with transposition of the great arteries

加地 剛1, 早渕 康信2, 七條 あつ子1, 高橋 洋平1, 中山 聡一朗1, 香美 祥二2, 苛原 稔1

Takashi KAJI1, Yasunobu HAYABUCHI2, Atsuko HICHIJO1, Youhei TAKAHASHI1, Soichiro NAKAYAMA1, Syoji KAGAMI2, Minoru IRAHARA1

1徳島大学病院産科婦人科, 2徳島大学病院小児科

1Obstetrics and Gynecology, Tokushima University Hospital, 2Pediatrics, Tokushima University Hospital

キーワード :

完全大血管転位(TGA)では動脈スイッチ手術(ASO)が行われることが多いが,ASOに際し冠動脈の起始・走行が重要とされている.今回胎児診断されたTGAにおいて胎児超音波により冠動脈の評価を行った3例を経験したので報告する.
TGA 3例の内訳はI型が2例,II型が1例であった.胎児冠動脈の描出にはカラードプラを使用した.胎児超音波にて冠動脈が3本描出できたのが2例,2本だけであったのが1例であった.1回の超音波で3本すべてを同時に評価できた症例はなく,複数回繰り返すことによって行われていた.出生後のShaher分類と完全に一致したのは1例のみであった.
【症例1】
TGA I型 妊娠19週6日大血管が見えにくいため当院に紹介.左前下行枝(LAD)が大動脈の左前面からでて,右冠動脈(RCA)は大動脈の右から出ている様に見えた.左回旋枝(LCX)は描出できなかった.Shaher分類の1もしくは2Aの可能性が高いと考えられた.出生後Shaher分類1と診断された.
【症例2】
TGA I型 妊娠28週1日TGAを疑われ当院に紹介.1本の冠動脈が大動脈の後面からでてRCAとLCXに分かれていた.LCXは肺動脈の後方を走行していた.一方LADは2本とは別に大動脈の左前面からでているように見えたためShaher分類2Aと判断した.しかしながら出生後,LADを含め3本ともに1本の冠動脈から分岐しており(単冠動脈)が判明し,Shaher分類3Bと診断された.
【症例3】
TGA II型 妊娠28週1日大動脈が1本しか見えないため当院に紹介.左冠動脈主幹部が大動脈の左前面からでて,その後LADとLCXに分かれていた.LCXは肺動脈の前方を走行していた.一方RCAは大動脈の右後面から別にでておりShaher分類1と判断した.出生後,Shaher分類1であることが確認された.
【結語】
完全大血管転位において,胎児期にも冠動脈の描出は可能であり走行を評価できた.しかしながら冠動脈起始部の同定には限界があり,正確なShaher分類は困難であった.