Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児心臓① 

(S630)

肺静脈血流パターンから24週で総肺静脈還流異常(TAPVD)を予測した1症例

A case report of Total Anomalous Pulmonary Venous Drainage(TAPVD)inferred from the fetal pulmonary vein blood flow waveforms at 24weeks of gestation

田形 千寿子1, 川滝 元良2, 窪谷 潔3, 古屋 智3, 高橋 英彦3, 窪谷 健3, 竹内 豊3

Chizuko TAGATA1, Motoyoshi KAWATAKI2, Kiyoshi KUBONOYA3, Satoshi HURUYA3, Hidehiko TAKAHASHI3, Ken KUBONOYA3, Yutaka TAKEUCHI3

1窪谷産婦人科検査, 2東北大医学系研究科融合医工学分野, 3窪谷産婦人科産婦人科

1Laboratory, Kubonoya Ob./Gyn. Clinic, 2Department of Obstetrics and Gynecology, Tohoku University, 3Ob./Gyn., Kubonoya Ob./Gyn. Clinic

キーワード :

【はじめに】
TAPVDは解剖学的左心房に還流すべき肺静脈が,左心房以外の体静脈系に異常に還流する先天性心疾患である.肺静脈狭窄を合併しやすく,その一部は出生直後の緊急手術が必要となる.しかし,現在の胎児心臓スクリーニング検査で検出することは困難とされている.今回,胎児心エコーで肺静脈血流パターンより,TAPVDを疑い,診断から治療に至った1例を経験したので報告する.
【症例】
36才,初妊・初産婦,自然妊娠.既往歴・家族歴に特記すべきことなし.高齢妊娠および本人・夫の希望により,妊娠15週3日に羊水検査を実施し,結果は,46XYの正常核型であった.妊娠24週3日に,当院で胎児超音波スクリーニングを行ったところ,肺静脈はカラードプラで左心房に吹き込んでいるように見えた.肺静脈血流パターンは通常では2峰性となるが,本症例では,左右の肺静脈血流パターンが1峰性を示した.妊娠26週4日に再度検査したところ,やはり左右の肺静脈血流パターンが1峰性を示した.この時点で肺静脈狭窄を合併したTAPVDを疑い,神奈川こども医療センターに紹介となり,妊娠26週5日に同院でTAPVDⅢ型と出生前胎児診断された.以降は同センターで周産期管理を依頼した.妊娠37週4日経腟分娩で出生.児は2533gの男児でApgerScore 8点(1分)/8点(5分)であった.日齢1に総肺静脈還流異常修復術を施行した.術後診断は,TAPVD(Ⅲ+Ⅰb)mixed type,胎児診断に一致した中等度の肺静脈狭窄が認められた.
【考察・結論】
胎児心臓超音波検査において肺静脈血流パターンから肺静脈狭窄を伴うTAPVDを予測した症例を経験した.通常行うBモードやカラードプラに加えて肺静脈血流パターンを調べることは,TAPVDの検出率の向上や肺静脈狭窄の存在診断に寄与するものと考えられた.