森 信博, 眞嶋 允人, 天雲 千晶, 田中 圭紀, 石橋 めぐみ, 伊藤 恵, 花岡 有為子, 金西 賢治, 田中 宏和, 秦 利之

Nobuhiro MORI, Masato MASHIMA, Chiaki TENKUMO, Tamaki TANAKA, Megumi ISHIBASHI, Megumi ITO, Uiko HANAOKA, Kenji KANENISHI, Hirokazu TANAKA, Toshiyuki HATA

香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学

Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine

キーワード :

【緒言】
近年，胎児心臓を3Dや4Dで空間的に評価する方法としてSTICやinversion mode, HDlive等が用いられている．Glass-Boby Rendering Modeはグレーイメージとカラードプラを同時に表示することにより心室の動きや大血管が交差する様子を立体的に描出することができる．
今回我々は，4D Color Doppler with Glass-Boby Rendering Modeを用いて正常胎児心臓及び先天性心疾患の評価を行ったので報告する．
【方法】
妊娠26週から36週の正常胎児4例および異常胎児7例（VSD1例，エブスタイン奇形1例，左心低形成症候群1例，動脈管瘤1例，両大血管右室起始症2例，三尖弁閉鎖不全症1例）を対象とした．
使用機器はVoluson E8（GE Healthcare）を用いた．経腹超音波を用いcurved-array transducer（4-8MHz）で25度から45度の角度で取り込みを行い，4D Color Doppler with Glass-Boby Rendering Modeによる解析を行った．
【結果】
正常胎児では収縮期，拡張期ともに心房，心室からの血流や肺動脈，大動脈が交差するところが明瞭に描出できた．さらに，卵円孔を通して右房から左房へ流れる血流も描出することができた．VSD症例では欠損口における両方向性のshunt flowを描出することができた．エブスタイン奇形では巨大な右心房に流入する三尖弁逆流血流を立体的に描出することができた．左心低形成症候群においても三尖弁逆流血流を描出することができた．小さな左室血流も描出することができた．両大血管右室起始症では太い大動脈と細い肺動脈が右室から平行に走行するところが明瞭に描出できた．動脈管瘤においては肺動脈と大動脈がクロスしているところが描出でき，拡張した動脈管が肺動脈に続いてでているところが明瞭に描出できた．三尖弁逆流症例では，収縮期に右房内に逆流する血流を立体的に描出することができた．
【結論】
4D Color Doppler with Glass-body Rendering Modeは大血管や心室の空間的な位置関係やサイズの違いを評価する上で有用であることが示唆された．