Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
その他(超音波機器) 

(S622)

研修医のもつ携帯エコーの意義

Meaning of the portable echo which an intern doctor has

田村 めぐみ1, 小川 眞広1, 高安 賢太郎1, 三浦 隆生1, 中河原 浩史1, 森山 光彦1, 長沼 裕子2, 石田 秀明2

Megumi TAMURA1, Masahiro OGAWA1, Kentoro TAKAYASU1, Takao MIYURA1, Hiroshi NAKAGAWARA1, Mitsuhiko MORIYAMA1, Hiroko NAGANUMA2, Hideaki ISHIDA2

1日本大学病院消化器内科, 2秋田赤十字病院消化器内科

1Department of Gastoroenterology, Nihon University Hospital, 2Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
超音波装置の小型化が進みついにPocketに入る超音波診断装置も出現している.本装置は2010年7月より発売されたが,さらに2014年にはDual Probeとして高周波型リニアプローブも一体型となる装置となった.本装置は真の簡便さを超音波検査に求めた形で,白衣のPocketに入る大きさでPocket echoとも呼ばれている.当院では病棟医の各グループに本装置を配布しているが,今回本装置を研修医が持ち仕事をする意義について検討をしたので報告をする.
【対象】
当院で病棟・外来勤務をおこなう際に本装置を帯同し超音波検査施行した疾患である.
【方法】
使用装置:GEヘルスケア社製V-scan Dual Probe,重量:436g,使用探触子:セクタプローブ,リニアプローブ,中心周波数:セクタ1.7〜3.8,リニア3.4〜8.0MHz,稼働時間:60分,動画記録時間:最大5秒間.病棟・外来での使用状況・有用性を専用のノートに検査終了後に記載しその後の解析に用いた.施行した疾患についての検討をおこなうと共に研修医が持つ場合の特殊性の検討もおこなった.
【結果】
びまん性肝疾患,肝腫瘤性病変(肝嚢胞,肝血管腫,肝細胞癌,転移性肝癌),胆道疾患(胆石症,胆嚢炎,胆管炎,胆嚢癌,胆管癌),消化管疾患(急性腸炎,虚血性腸炎,大腸癌),腹水・胸水など体腔液の検査などである.研修医側からみた印象として,まず触診と同じ感覚で気になる部分の観察,加療中疾患の経過観察,体腔液のチェック,胆道系の診断での有用性の評価が高かった.さらに常に帯同している事により,とりあえず当ててみる,得られた画像についての超音波診断学を学習する.上司に画像を用いて相談する.などが挙げられた.
【考察】
消化器領域を中心に様々な対象疾患に対して用いることが可能であった.セクタプローブでの欠点として挙げられていた,近距離の描出が可能となり,消化器科領域での適応疾患が広がった.特に病棟勤務などで使用する中心静脈カテーテルの挿入字の補助や,腹水・胸水などの体腔液穿刺補助としての有用性が広がった.リニアプローブでのflame rateの低下や稼働時間の短縮化など今後の機能向上が望まれる点も認められた.研修医の超音波診断の学習としては,座学中心の受け身の学習であったが,本装置によりこれまでに無い積極的な姿勢の学習が可能となり教育的な側面からの有用性も高いことが考えられた.
【結論】
日常診察における触診補助装置,超音波診断学の教育の2点において携帯超音波診断装置は有効であると考えられた.