Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓② 

(S619)

造影超音波検査が鑑別に有用であった膵リンパ上皮嚢胞の1例

A case of lymphoepithelial cyst of the pancreas which contrast-enhanced ultrasonography was useful in the process of diagnosis

岸野 恭平1, 橋本 健二1, 2, 會澤 信弘1, 中野 智景1, 2, 橋本 眞里子2, 田中 弘教1, 2, 廣田 誠一3, 藤元 治朗4, 西口 修平1, 飯島 尋子1, 2

Kyohei KISHINO1, Kenji HASHIMOTO1, 2, Nobuhiro AIZAWA1, Chikage NAKANO1, 2, Mariko HASHIMOTO2, Hironori TANAKA1, 2, Seiichi HIROTA3, Jiro FUJIMOTO4, Syuhei NISHIGUCHI1, Hiroko IIJIMA1, 2

1兵庫医科大学病院肝胆膵内科, 2兵庫医科大学病院超音波センター, 3兵庫医科大学病院病院病理部, 4兵庫医科大学病院肝胆膵外科

1Department of Hepatobiliary and Pancreatic Oncology, Hyogo College of Medicine, 2Ultrasound Center, Hyogo College of Medicine, 3Pathological Department, Hyogo College of Medicine, 4Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【背景・目的】
膵リンパ上皮嚢胞(Lymphoepithelial cyst;LEC)は,比較的稀に認められる良性膵嚢胞性疾患である.LECは嚢胞内が均一にならず術前診断に難渋する例がある.今回,造影超音波検査(CEUS)が膵腫瘤の鑑別診断の一助となったため報告する.
【症例】
50歳代,男性.
【既往歴】
左大腿骨頭壊死(原因不明)に対し人工骨頭置換術
【現病歴】
健診で施行した胸部CTで偶然90×72mmの膵尾部腫瘤を発見され,精査加療目的に当科紹介となった.自覚症状はなく,血液検査上はCA19-9・Span-1の軽度上昇を認めるが,膵酵素上昇や耐糖能異常は認めなかった.B-modeで腫瘤は内部不均一で充実成分と無エコー領域が混在しており,カラードプラで内部に血流シグナルを認めた.造影CTでは内部に石灰化と隔壁構造をもつ嚢胞性腫瘤を認め,造影により隔壁に増強効果を認めた.MRIでは腫瘤はT1WIで低信号,T2WIで高信号を呈しており,内部に隔壁と不整な充実成分を伴っていた.鑑別としてMucinous cystic neoplasm(MCN)やSerous cystic neoplasm(SCN),LECなどの嚢胞性疾患が疑ったが,エコーやMRIで充実成分を認めることから充実性腫瘍の嚢胞変性も否定できなかった.そこで膵腫瘤の充実成分を中心にCEUSを行った.血管相で腫瘤内は隔壁のみ染影され,充実成分と思われた領域は染影されなかった.このことから充実性腫瘍より嚢胞性疾患を強く疑い,十分なインフォームドコンセントの上,腹腔鏡補助下膵尾部切除術+脾摘出術+結腸部分切除(癒着のため)を施行した.病理結果はLECの診断で,嚢胞内腔には角化成分,コレステリン結晶,フィブリン成分を認めた.
【考察】
LECは,嚢胞内に角化成分やケラチン様の粘調な液体を認め,それらを反映しCTでは高吸収,MRIでもさまざまな信号強度を呈する.超音波検査でも嚢胞内が不均一となり,嚢胞性腫瘍だけでなく充実性腫瘍との鑑別が困難な例が存在する.今回CEUSで嚢胞成分が明瞭となり,術前の鑑別診断に有用であった.
【結語】
CEUSが鑑別の一助となったLECの一例を経験した.