Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓② 

(S618)

腹部超音波検査による多発膵嚢胞を契機に診断したvon Hippel-Lindau病(VHL)の一例

A Von Hipple Lindau disease could be diagnosed by ultrasonography

辻本 祐之1, 坂本 洋城1, 原田 智1, 樋口 和秀2

Hironori TSUJIMOTO1, Hiroki SAKAMOTO1, Satoshi HARADA1, Kazuhide HIGUCHI2

1葛城病院消化器内科, 2大坂医大消化器内科

1Gastroenterolgy, Katsuragi Hosipital, 2Hepatology and Gastroenterolgy, Oosaka Medical College

キーワード :

【症例】
23歳,女性
【主訴】
なし
【現病歴】
会社の検診にて尿中ウロビリノーゲン陽性のため精査目的にて当院受診.既往歴;なし.腹部超音波検査にて膵頭部から尾部にかけて大小の多発性嚢胞を認めた.膵実質や主膵管は多発性の膵嚢胞のため描出できず評価不可能であった.血算,胆道系酵素を含めた生化学検査および腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)の全てにおいて異常値は認めず.腹部造影CT検査を行ったところ,膵嚢胞の一部は石灰化しており,被膜や隔壁の濃染を認めた.両側腎に動脈相で不均一に濃染し,実質相に低吸収となる多発性腎細胞癌を認めた.副腎異常は認めず.超音波内視鏡(EUS)検査では多発性嚢胞のうち,3つの嚢胞内に結節を認めた.ソナゾイド®を用いた造影EUSを施行したところ,全ての結節に血流は認められず.エラストグラフィーによる評価では結節は均一の赤色信号で,緑色である嚢胞隔壁より軟であった.以上のことより嚢胞内結節は粘液塊と診断した.以上の腹部画像検査よりVHL病が疑われたため,全身検索を行ったところ,頭部のMRIで右小脳半球の血管芽細胞腫,全脊椎のMRIで腰椎に脊髄内血管芽腫を認めた.VHL病の家族歴はないが,小脳および脊椎血管芽腫と,腎腫瘍および膵嚢胞を認めたためVHLと診断した.褐色細胞腫はないため,VHL病1型と診断した.その後の遺伝子検査でVHL遺伝子遺伝子の変異が認められた.
【考察】
膵嚢胞疾患は,単純性嚢胞,膵IPMN,膵漿液性嚢胞性腫瘍や膵粘液性腺腫などの鑑別が必要であるが,膵嚢胞,特にSCNはVHLに合併することが知られており,全身的な検索を行う必要がある.今回我々は多発膵嚢胞を契機に診断したVHLの一例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.