Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓① 

(S612)

Virtual Touch Tissue Quantificationを用いた高輝度膵の評価

Analysis in Bright Pancreas with Virtual Touch Quantification

澁谷 友美, 後藤 隆, 大西 洋英

Tomomi SHIBUYA, Takashi GOTOU, Hirohide OHNISHI

秋田大学医学部附属病院消化器内科学講座

Division of Gastroenterology, Akita University School of Medicine

キーワード :

【目的】
組織の固さを知る方法として,収束超音波パルスの音響放射圧を用いて生体組織内に微妙な変位を生じさせ,その程度から組織の固さの情報を得るAcoustic Radiation Force Impulse(ARFI)によるVirtual Touch Quantification(VTQ)が実用化された.しかし膵臓における使用報告は未だ少ない.一方超音波検査におけるbright pancreasは膵臓の脂肪化や線維化を反映していると考えられている.今回我々はbright pancreasのVTQ値を検討し若干の知見が得られたので報告する.
【方法】
当施設において超音波検査が施行された膵臓疾患がない47例(男性18例,女性29例,58.6±17.3歳(24歳〜80歳))を対象とした.膵体部の剪断波速度を肝臓を介して連続6回測定し,測定値の平均値を用いた.VTQ測定値とsAMYおよびBMI,年齢について比較検討した.脂肪肝の症例を除外し,膵実質と肝左葉実質のエコー輝度とを比較し,明らかに輝度が高いものをbright pancreasとした.使用機器はSIEMENS社製ACUSON S2000と4C1コンベックスプローブ(周波数1〜4MHz)を用いた.
【結果】
膵VTQ値を測定した47例のうち,bright pancreas25例とbright pancreasを認めない群19例を得た.bright pancreas群の平均年齢は65±13歳であり,非bright pancreas群の49±19歳と比較してbright pancreas群において有意に高値であった(p<0.005). bright pancreas群では膵VTQ値はVs=1.51±0.30(m/s)であり,非bright pancreas群における膵VTQ値のVs=1.23±0.28(m/s)と比較して,有意に高値を示した(p<0.01). bright pancreas群において,膵VTQ値とBMIとの相関を得られたが,非bright pancreas群においては有意な相関は得られなかった.sAMYについては,両群ともに明らかな相関は得られなかった.
【考察】
Virtual Touch QuantificationにおけるVTQ測定は膵臓測定においても有用と考えられる.bright pancreasにおいてVTQ値が有意に高値を示し,bright pancreasは膵臓の脂肪化ばかりでなく線維化を反映していることが示唆された.