河合 良介¹, 畠 二郎¹, 眞部 紀明¹, 今村 祐志¹, 飯田 あい¹, 中藤 流以², 谷口 真由美³, 岩井 美喜³, 竹之内 陽子³, 春間 賢²

Ryousuke KAWAI¹, Jiro HATA¹, Noriaki MANABE¹, Hiroshi IMAMURA¹, Ai IIDA¹, Rui NAKATOU², Mayumi TANIGUCHI³, Miki IWAI³, Yoko TAKENOUCHI³, Ken HARUMA²

¹川崎医科大学検査診断学（内視鏡・超音波）, ²川崎医科大学消化管内科学, ³川崎医科大学附属病院中央検査部

¹Division of Endoscopy and Ultrasound, Department of Clinical Pathology and Laboratory Medicine, Kawasaki Medical School, ²Divison of Gastroenterology, Department of Internal Medicine, Kawasaki Medical School, ³Department of Clinical Laboratory, Kawasaki Medical School Hospital

キーワード :

【背景】
本邦のガイドラインにおいても急性胆嚢炎の重症度評価は重要とされる．そのなかで壊疽性胆嚢炎の診断については絶対的な手法が確立していない．近年，本病態における造影CT検査（CECT）^1）と造影超音波検査（CEUS）^2）の有用性がそれぞれ報告されているが，両者の所見検出能を直接比較した報告はない．
【目的】
壊疽性胆嚢炎における胆嚢壁虚血像の検出率および検者間格差についてCEUSとCECTとで比較する．
【対象】
2010年1月-2014年8月の期間に当院で急性胆嚢炎に対し術前CEUS（動画保存あり）・術前CECT・外科的胆嚢摘出術のいずれもが施行された31例．うち両検査の施行間隔が24hr以上あいた4例を除外した壊疽性胆嚢炎21例・非壊疽性胆嚢炎6例．
【方法】
臨床情報を知らされない超音波学会専門医2名（認定21年目，1年目）がCEUSの動画を読影し胆嚢壁染影欠損像の有無を記載．同様に臨床情報を知らされない2名の放射線科専門医（認定11年目，1年目）がCECT画像を読影し染影欠損像の有無を記載した．Gold standardは病理所見による壊死の有無とした．CEUS機器；Aplio^TM（東芝），造影剤；Sonazoid^TM（MI 0.2-0.3，harmonic Imaging）．CECT機器；Activion^TM16（東芝）・Aquilion^TM64（東芝）・LightSpeed Ultra^TM16（GE），造影剤；オムニパーク^TM・オイパミロン^TM．（3.3ml/sec，撮像40sec，スライス幅5mm）．
【結果】
それぞれのAccuracy・感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率を以下に示す．超音波検者A；81.5％，81.0％，83.3％，94.4％，55.6％・超音波検者B；81.5％，85.7％，66.7％，90％，57.1％．両者間のκ係数0.647．放射線科医A；81.5％，81.0％，83.3％，94.4％，55.6％・放射線科医B；59.3％，52.4％，83.3％，91.7％，33.3％．両者間のκ係数0.571．
【考察】
CEUSの診断能は過去の報告とほぼ同等，CECTは過去の報告と同等もしくはやや感度に優れる結果を得た．経験豊富な検者においては両者の胆嚢壁虚血所見検出能はほぼ同等と判断されたが，経験の浅い検者との一致率においてはCEUSの方が優れる可能性が示唆された．
【Limitation】
読影のみによる診断能の比較であり，超音波検査における「撮像における検者間格差」の要素は評価できていない．
【参考文献】
1）Wu CH, et al. Discrimination of gangrenous from uncomplicated acute cholecystitis: accuracy of CT findings. Abdominal Imaging 2011;36:174-178.
2）Revel L, et al, Preoperative diagnosis of gangrenous acute cholecystitis: usefulness of CEUS. Abdominal Imaging 2014. May 9.