Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
胆管 

(S607)

超音波診断が有用であったintraductal papillary neoplasm of the bile ductの3症例

Utility of Ultrasonographic findings of three cases of intraductal papillary neoplasm of the bile duct

重田 浩一朗, 橋口 正史, 水上 京子, 三阪 高春, 肱黒 薫, 肱黒 公博, 杉田 浩

Kouichirou SHIGETA, Masafumi HASHIGUCHI, Kyoko MIZUKAMI, Takaharu MISAKA, Kaoru HIZIKURO, Tomohiro HIZIKURO, Hiroshi SUGITA

霧島市立医師会医療センター内科

Internal Medicine, Kirishima Medical Center

キーワード :

IPNBは膵臓のIPMNと同様の疾患が胆管内に発生したものである.2001年Chenらにより報告され,2013年の胆道癌取扱い規約第6版でも胆道内乳頭状腫瘍と記載されているが,まだ報告が少ない.今回我々は術前の腹部超音波検査でIPMNBと診断した3例を経験した.
症例1は57才女性 アルコール依存症の治療前全身精査で肝内ののう胞性腫瘤を指摘され当院紹介となった.AST 25 IU/L ALT 30 IU/L T-Bil 0.5 mg/dL ALP 418 IU/L γ-GTP 254 IU/L CEA 3.0 ng/ml CA19-9 5.7 U/ml AFP 20.8 ng/mlと軽度のアルコール性肝障害を認めたが,腫瘍マーカーの上昇は無かった.腹部超音波検査では肝S3に最大直径45mmの辺縁不整なのう胞性病変があり,内部には乳頭状の隆起を認めた.総胆管は拡張し,長軸方向へ刷毛ではいたような複数の線状エコーを認めた.病理結果はIPMNB oncocystic typeであった.
症例2は93才女性 黄疸を主訴に当院外来受診した.AST 150 IU/L ALT 92 IU/L T-Bil 18.8 mg/dL ALP 2530 IU/L γ-GTP 458 IU/L CRP 10.2mg/dL CA19-9 23011.3 U/ml CEA 23.6 ng/ml 肝機能障害と炎症反応,腫瘍マーカーの上昇を認めた.肝両葉の肝内胆管の拡張を認め,拡張した左枝内には壁在性の結節を認めた.拡張した胆管内には症例1と同様の長軸方向へ刷毛ではいたような複数の線状エコーを認めた.入院後2週目に肝不全で死亡した.
症例3は78才女性 全身倦怠感を主訴に近医受診し,肝機能障害を認め,当院紹介された.腹部CTでは肝左葉にSOLを認めた.AST 18 IU/L ALT 37 IU/L T-Bil 1.0 mg/dL ALP 678 IU/L γ-GTP 164 IU/L CEA 1.6 ng/ml CA19-9 425 U/ml AFP 3.3 ng/mlとCA19-9の上昇と胆道系酵素の上昇を認めた.S4の腫瘍は最大径42mmで,B-modeでは充実性に見えたが,ソナゾイド®を用いた造影検査では辺縁に乳頭状の隆起性病変を認めた.総胆管は拡張し,症例1,2と同様に長軸方向へ刷毛ではいたような複数の線状エコーを認めた.
肝内に辺縁に乳頭状の隆起を伴うのう胞性病変や拡張した胆管壁辺縁の乳頭状結節,拡張した胆管内部に長軸方向へ刷毛ではいたような複数の線状エコーを認める場合はIPNBを考え,検討を進めなければならない.多少の文献的考察を含めて上記症例を報告する.