Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
びまん性肝疾患(その他②) 

(S605)

肝左葉外側区域が鎌状に伸びる正常変異例の検討

Normal variant of Liver S2,3 that grows like sickle form;comparison between US and CT for the diagnosis

松原 友紀1, 橋向 成典1, 本田 伸行1, 佐藤 まり恵1, 平尾 円香2

Yuki MATSUBARA1, Shigenori HASHIMUKAI1, Nobuyuki HONDA1, Marie SATOU1, Madoka HIRAO2

1寺元記念病院画像診断センター, 2西天満クリニック検査科

1Diagnostic Imaging Center, Teramoto Memorial Hospital, 2Clinical Laboratory, Nisitenma Clinic

キーワード :

【目的】
肝左葉外側区域が鎌状に左中腋窩線上まで伸びる正常変異(以下,肝左葉鎌状変異)の超音波診断能を明らかにする.
【対象と方法】
腹部CTで肝左葉鎌状変異と確認した65例を対象に,腹部超音波検査(以下US)での描出能を検討した.また,腹部CTあるいはUSで確認した肝左葉鎌状変異133例を対象に,左肋間走査・心窩部走査・左肋弓下走査での描出能について検討した.さらに,特に肝左葉鎌状変異に注目する様になった直近の45例を対象に,走査法に違いによる描出能についても検討した.
2008年4月から2014年12月の期間での対象者は,年齢16〜93歳(平均50.7歳),男性16例(12.6%),女性117例(87.4%)である.
【結果】
腹部CTで肝左葉鎌状変異が確認された65例中,USでも診断できたのは44例(67.7%),できなかったのは21例(32.3%)であった.腹部CTあるいはUSで確認された133例中,左肋間走査で描出できたのは127例(95.5%),心窩部走査で描出できたのは14例(10.5%),左肋弓下走査で描出できたのは14例(10.5%)であった.特に肝左葉鎌状変異に注目する様になった直近の45例の描出能は,左肋間走査で描出できたのは41例(91.1%),心窩部走査で描出できたのは19例(42.2%),左肋弓下走査で描出できたのは17例(37.8%)であった.
【考察】
腹部CTで肝左葉鎌状変異が確認され,USでは描出できなかった最大の要因は,左肺のガスによるものと考えられた.また,心窩部走査・左肋弓下走査での描出能が低いのは介在する消化管の影響が大きいと考えられた.
また,肝左葉鎌状変異の有無に留意して検査することにより診断能は向上した.
【結論】
腹部超音波での肝左葉鎌状変異の確認には,通常の心窩部走査・左肋弓下走査だけでは不十分である.左肋間走査でも丹念に走査して,脾臓に接する肝実質エコーとして描出する必要がある.