Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
門脈圧亢進症 

(S602)

食道静脈瘤治療における肝硬度測定の役割

The role of liver stiffness measurement in esophageal varices treatment

中野 茂1, 松清 靖1, 松井 哲平1, 丸山 憲一2, 池原 孝1, 篠原 美絵1, 篠原 正夫1, 永井 英成1, 渡邉 学1, 住野 泰清1

Shigeru NAKANO1, Yasushi MATUKIYO1, Teppei MATSUI1, Kenichi MARUYAMA2, Takashi IKEHARA1, Mie SHINOHARA1, Masao SHINOHARA1, Hidenari NAGAI1, Manabu WATANABE1, Yasukiyo SUMINO1

1東邦大学医療センター大森病院消化器内科, 2東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部

1Division of Gastroenterology and Hepatology Deparement of Internal Medicine, TOHO University Omori Medical Center, 2Clinical Functional Physiology, TOHO University Omori Medical Center

キーワード :

【背景と目的】
食道静脈瘤に対する内視鏡的治療は確立された感があるが,未解決の課題も多い.出血を効果的に抑制するためには静脈瘤の根絶が必要だが,そのために時に多数回の治療が必要となることも課題の一つである.近年の超音波機器の進歩によって肝硬度の測定が可能となり,各方面において検討が進められているが,肝硬度が静脈瘤治療とどのように関連するか検討する.
【対象と方法】
2013年4月から2014年3月までに当科で治療した食道静脈瘤症例のうち,EVLで治療し肝硬度を測定した22例を対象とした.肝硬度の測定にはVTQを用いた.検討項目はVTQのほか治療回数,治療回数3回以下での目標(F0RC0)達成とした.統計的検討にはStatViewを用い,Χ二乗検定で判定した.p<0.05を有意水準とした.
【結果】
22例のうち目標を達成したのは11例.Vs値2.0m/sを境界にして分けると2.0以下の5例中4例で3回以内にF0RC0を達成していた(治療回数3回が2例,2回が2例).2.1以上の17例では7例が目標を達成していたが,3回以下での達成は5例だった(治療回数3回が5例,4回が1例,6回が1例).VTQ2.0以下の群での治療目標の達成は2.1以上の群に比して有意に高率だった.Vs値の境界を2.5m/s,3.0m/sとすると両群に有意差は認められなかった.3回以内で目標を達成した9例と達成できなかった13例でVs値を比較すると,達成群は非達成群と比して低値となっていたが有意差は認められなかった(2.7vs3.2,p=0.2).
【考察】
肝硬度による群別ではF0RC0の達成について有意差が得られたが,F0RC0の達成の可否で群別するとVs値には有意差が得られなかった.これは目標達成に必要な要素が肝硬度だけでないためだが,肝硬度が低値であることは目標達成を容易にする要素であり,肝硬度を測定することで食道静脈瘤の治療困難性を予測出来ると考えられる.