Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
びまん性肝疾患(エラストグラフィ②) 

(S593)

C型肝炎症例における剪断弾性波速度測定に及ぼす肥満の影響

Impact of obesity to measurements of shear wave velocity in patients with hepatitis C virus

松下 裕1, 新垣 直樹2, 森 良幸2, 井上 泉2, 井上 良子1, 中塚 賢一1, 森井 眞治1, 瀧口 良重1, 大石 博晃1, 玉井 秀幸2

Yu MATSUSHITA1, Naoki SHINGAKI2, Yoshiyuki MORI2, Izumi INOUE2, Ryoko INOUE1, Kenichi NAKATSUKA1, Shinji MORII1, Yoshie TAKIGUCHI1, Hiroaki OOISHI1, Hideyuki TAMAI2

1和歌山県立医科大学附属病院中央検査部, 2和歌山県立医科大学第二内科

1Central Laboratory, Wakayama Medical University Hospital, 2The Second Department of Internal Medicine, Wakayama Medical University

キーワード :

【目的】
C型肝炎において肝線維化の進行度を診断することは臨床上極めて重要である.近年,肝線維化の程度は,剪断断弾性波速度(shear wave velocity:Vs)の測定を用いた肝硬度の定量化により,非侵襲的に評価可能となってきている.肥満は,超音波検査における描出能を低下させる要因であるが,Vs値測定に与える影響は未だ十分に明らかにされていない.本研究の目的は,Vs値測定に及ぼす肥満の影響を明らかにすることである.
【方法】
Vs値を測定し,肝生検または肝切除により組織学的に線維化を評価したC型慢性肝炎患者664例の内,肝表から1cm以上の距離を空けてROIを設定しVs値を計測した640例を対象とした.平均年齢66.6±11.4歳.男性332例,女性308例.平均BMI23.1±3.5.線維化F0;20例,F1;53例,F2;136例,F3;186例,F4;245例.使用機種は持田シーメンス社Acuson S2000.Vs値の測定は右肋間走査にて,肝右葉前区域で10回施行,その平均値を算出した.肥満群(BMI25以上)と非肥満群(BMI25未満)の2群に分け,Vs値,血小板,Ⅳ型コラーゲン7s,ヒアルロン酸,APRI,FIB4 indexをF0からF4までの各ステージ毎に比較した.APRI,FIB4 indexは以下の式を用いて算出した.
APRI=(AST[IU/L]/ASTの正常上限値)/血小板[10-9/L]×100
FIB4 index =(年齢×AST[IU/L])/(血小板[10-9/L]×ALT[IU/L]0.5)
【結果】
F0例における平均Vs値は肥満群1.26±0.22 m/s,非肥満群1.05±0.13 m/sであり,肥満群のほうが有意に高値(p=0.029)であった.F1例における平均Vs値は肥満群1.37±0.42 m/s,非肥満群1.21±0.31 m/sであり,肥満群のほうが高値であったが有意差はなかった(p=0.193).F2例における平均V値は肥満群1.45±0.71 m/s,非肥満群1.36±0.51 m/sであり,肥満群のほうが高値であったが有意差はなかった(p=0.990).F3例における平均Vs値は肥満群2.10±0.84m/s,非肥満群1.77±0.64 m/sであり,肥満群のほうが有意に高値(p=0.022)であった.F4例における平均Vs値は肥満群2.67±0.80 m/s,非肥満群2.31±0.69 m/sであり,肥満群のほうが有意に高値(p=0.001)であった.血小板,Ⅳ型コラーゲン7s,ヒアルロン酸,APRI,FIB4 indexについては,いずれの線維化ステージにおいても肥満群と非肥満群の間に有意差を認めず,肥満の影響は認められなかった.
【結語】
肥満はVs値測定に大きな影響を及ぼす要因であり,肥満例では非肥満例よりも高値を示す傾向がみられた.C型肝炎肥満例におけるVs値を用いた肝線維化評価は,他の線維化マーカーも合わせ慎重に行う必要がある.