Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
脂肪肝 

(S588)

内科診療所における脂肪肝超音波検査:LFI, NAFLD FS, FIB4にて代謝症候群を推察?

Study of ultrasonography in Internal medicine clinic: Can the LFI, NAFLD Fib. Score and FIB4I. in the Fatty Liver Disease guess a Metabolic Syndrome?

菅野 雅彦1, 永田 聖華2, 松野 たか子3, 前川 直子2, 藤原 悠梨2

Masahiko SUGANO1, Seika NAGATA2, Takako MATSUNO3, Naoko MAEKAWA2, Yuri FUJIWARA2

1すがの内科クリニック内科, 2すがの内科クリニック検査室, 3すがの内科クリニック看護部

1Internal Medicine, Sugano Internal Medicine Clinic, 2Clinical Laboratory, Sugano Internal Medicine Clinic, 3Nursing, Sugano Internal Medicine Clinic

キーワード :

【目的】
診療所でのUS症例は脂肪肝が最多でmetabolic syndrome(MS)合併も多い.25年の集計でNAFLDはMS合併21.1%,Liver Fibrosis Index(LFI)2.5以上はMSを考慮すべしと報告した.NAFLDとC型肝炎(HC)にてLFIに加えNAFLD Fibrosis Score(NFS), FIB4index(FIB4I)も考慮しMS合併の類推を検討する.
【対象と方法】
26年3-5月に当院で腹部USを施行232例中,NAFLDは142例(58.7歳,M82;F60)61.2%,HCも74例(62.1,39;35)31.9%と以前より比率が増加.B型32例(53.8,15;17),アルコール16例(52.3:12.4).NAFLDとHCのLFI,NFS, MS合併率及び前者ではUS所見:脂肪肝の程度(FL:0-3)と慢性肝炎進展度(CH:0-4)とFIB4Iも検討.FLは肝実質の高echo, HR contrast,深部減衰,CHは肝腫大,辺縁・表面性状,実質echoを素に点数化.LFIは肝内の最低3か所測定し平均値で検討.装置は日立アロカ社:ascendus.
LFIは肝内の最低3か所測定し平均値で検討.装置は日立アロカ社:ascendus.
【成績:25年】
身体計測・患者背景:NAFLD(BMI24.5,血圧127.1/73.4;降圧剤服用21.8%)の飲酒率(D)9.9%(機会飲酒),喫煙(T)2例.HC(22.7,128.0/75.6;21.6)はD12.2,T3.飲酒と喫煙,降圧剤服用とも低率化していた.
生化学とUS所見:MS合併率NAFLD(AST26.4IU/L, ALT 30.0,γ-GTP 46.8mg/dL, TG 120.5,FBG 106.4,HbA1c 5.97%;FL:1.35;CH:1.28;LFI:2.22)はMS合併24例:16.9%.HC(33.1,28.9,37.4,89.6,98.7,5.59;1.13;1.80;2.22)は6例8.1%と両者ともMS合併は25年より低率.
【NAFLDのMS合併予測】
US所見の検討:CHは1.5↑(陽性予測率0.31,感度0.63,特異度0.72,陽性尤度比7.89)に比し,CH2↑(0.44,0.46,0.88,32.86)が尤度比著明高値だが感度は劣る.FLは1.5↑(0.34,0.92,0.64,7.29)に対しFL2↑(0.40,0.79,0.75,13.11)で特異度,尤度比とも高い.LFIでの検討:2.5↑(0.41,0.71,0.81,3.69)に比し,2.7↑(0.47,0.63,0.86,4.60)で尤度比は少し高いが,MS合併なし例の平均LFIが2.52のため,患者の拾い上げにはLFI2.5をC.O.としたい.NFSでの検討:high(高:0.676↑):10例ではMS合併20%,intermediate(中:-1.455〜0.676);60例は22.3%,low(低:-1.455↓)87例では6.9%だが,nonMS例の60.9%は低値.LFIとNFSおよびCHの関係:NFS高:LFI平均値3.01,中;2.29,低:2.07で相関傾向(r=0.398)あり.CHの分類では0:LFI 1.75,1:1.99,1.5:2.44,2:2.73,2.5↑:3.38.CH1以下(LFI1.99↓)の56例はNFS(高1例.中15.低30)と低く,CH2.5以上(LFI2.73↑)34例はNFS(5,16,13)高値も多い.FIB4Iでの検討;NASHを疑う高値(2.67↑)10例ではMS合併60%,おそらくSSの低値(1.30↓)92例は7.7%,中間値55例で20%であった.
【HCのMS合併予測】
LFIでの検討;LFI2.2↑(感度0.83,特異度0.81,尤度比23.70)はMS合併6例中5例を抽出も,NFSは高でも0.FIB4Iも高で2,むしろFL2↑が3例,CH2↑も3例と線維化マーカーよりUS所見とLFIが拾い上げに有用.LFIとNFSの関係:r=0.358だが,前回検討でMS合併効率の高かったLFI2.5↑:21例はNFS(高6例.中12.低3)に比し,2.5↓:48例はNFS(7,24,17)と低も多いが,病態が違うためかNAFLDほどの傾向はでてこない.
【まとめと結語】
26年は全232例でMS合併34例14.7%と低下,しかし因子別では耐糖能障害58例,脂質異常40例,高血圧112例:48.3%と少なくはなく,腹囲(orBMI)が基準以下の症例が多かったためと思われる.LFIはMSを数値的に類推可能で,NAFLD≥2.5,HC≥2.2でMS合併を考えたい.USにて脂肪肝と慢性肝障害の合併を認めた場合は,軽度でもLFIを参考にMSの検索をすすめるべきと考える.