Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
肝腫瘍(治療①) 

(S576)

造影超音波を用いたAFP低値進行肝細胞癌に対するソラフェニブの治療評価の検討

Evaluation of sorafenib for advanced hepatocellular carcinoma with low AFP level by contrast-enhanced ultrasonography

塩澤 一恵1, 渡邉 学1, 松清 靖1, 池原 孝1, 三塚 幸夫2, 工藤 岳秀2, 八鍬 恒芳2, 丸山 憲一2, 五十嵐 良典1, 住野 泰清1

Kazue SHIOZAWA1, Manabu WATANABE1, Yasushi MATSUKIYO1, Takashi IKEHARA1, Yukio MITSUTSUKA2, Takahide KUDO2, Tsuneyoshi YAKUWA2, Kenichi MARUYAMA2, Yoshinori IGARASHI1, Yasukiyo SUMINO1

1東邦大学医療センター大森病院消化器内科, 2東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部

1Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Internal Medicine, Toho University Medical Center, Omori Hospital, 2Department of Clinical Functional Physiology, Toho University Medical Center, Omori Hospital

キーワード :

【目的】
これまでわれわれは造影超音波(CEUS)によるArrival time parametric imaging(AtPI)を用いて進行肝細胞癌(ad-HCC)に対するソラフェニブ(So)の治療評価について検討してきた.その結果,AtPIで得られた客観的評価の指標であるmean time(MT)はSoの早期治療効果判定に有用である可能性が示唆された1,2).一方,AFPはSo治療効果の指標となると言われているがad-HCCにおいてAFP低値例が存在する.今回,われわれはAFP低値ad-HCCに対してSo治療前後でCEUSによるAtPIを用いた解析を行ない,その有用性について検討した.
【方法】
対象はSoを開始したad-HCC94例のうち,AFP35ng/ml以下でSoを4週以上内服し,同意が得られ,治療前と2週後にCEUSが施行できた13例.男性11,女性2例,平均年齢70.2歳,背景肝はHBV2,HCV8,アルコール2,その他1例,Child-Pugh分類Aが11,Bが2例.超音波診断装置は東芝社製AplioXG,3.75MHZコンベックスプローブを用い,評価を一定とするためUSで経過観察が可能な一結節を対象としSo投与前,投与2週後に同一断面,同じ撮像条件でCEUSを施行し,血管相(0〜40秒)でAtPIによる解析を行なった.対象腫瘍近傍にある太い動脈に造影剤が到達した時点を基準点とし,基準点から対象までの造影剤到達時間を0.5秒間隔に設定してcolor mapping(CM)画像を作成した.得られたCM画像において,対象に対して最大にROIを設定し,基準点からROI内の造影剤到達時間の平均値(MT)を算出した.各症例に対して治療前のMTを前値とし治療2週後におけるMTとの差を求めた.差が0以上となった症例をMT(+)(血流速度低下)群,差が0未満となった症例をMT(-)(血流速度上昇)群と判断した.Soを開始した日を基準としKaplan-Meire法により各群の生存期間を検討した.本検討は病院倫理委員会の承認を得ている.
【結果】
MT(+)は7例,MT(-)は6例であった.生存期間の中央値はMT(+)が307日,MT(-)が208日,p=0.041でMT(+)群で有意に生存期間の延長を認めた.
【結語】
AtPIで得られたMTの評価はAFP低値ad-HCC症例に対するSoの治療効果判定にも有用である可能性が示唆された.特に治療2週後という早い段階で治療評価ができる可能性があり,MTはAFP低値ad-HCC症例においても,So継続のよいバイオマーカーとなるのではないかと考えられた.
【参考文献】
1)Shiozawa K, et al.: Evaluation of sorafenib for hepatocellular carcinoma by contrast-enhanced ultrasonography: A pilot study. World J Gastroenterol 18: 5753-5758,2012
2)塩澤一恵,他:ソナゾイド®造影超音波によるArrival time parametric imagingを用いた進行肝細胞癌に対するソラフェニブの早期治療評価の検討.肝臓54:363-366,2013