高田 ひとみ, 土谷 薫, 安井 豊, 玉城 信治, 鈴木 祥子, 細川 貴範, 中西 裕之, 板倉 潤, 黒崎 雅之, 泉 並木

Hitomi TAKADA, Kaoru TSUCHIYA, Yutaka YASUI, Nobuharu TAMAKI, Shoko SUZUKI, Takanori HOSOKAWA, Hiroyuki NAKANISHI, Jun ITAKURA, Masayuki KUROSAKI, Namiki IZUMI

武蔵野赤十字病院消化器科

Gastroenterology and Hepatology, Musashino Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
ラジオ波治療（RFA）にて予後良好とされる小肝細胞癌の中にも短期間で再発を来す症例が存在する．また非多血かつEOB-MRI肝細胞相低信号を呈するハイリスク結節の治療基準は確立していない．今回我々はRFA後局所再発および非多血性病変の画像所見の比較・多血化に関連する因子を検討した．
【方法】
検討1：2012年10月から2013年8月までに造影超音波（CEUS）を施行した490症例中RFAを施行した178結節の再発を検討した．CEUSはAplio 500を使用し，Sonazoid^® 0.5ml/bodyをbolus投与後，1分までを血管相，8分からをKupffer相として観察した．20分まで観察し，iso echoicの結節をKupffer相isoと判定した．なお腫瘍血管構築パターン（MIP pattern）は既報の如くfine, vascular, irregularに分類した．再発は局所・異所性・亜区域内再発とし，局所再発はRFA前viable lesionに接する再発と定義した．検討2：経過観察した非多血性48結節の画像所見・多血化率を検討した．
【成績】
検討1：CEUSで非多血を呈した結節，もしくは多血だがKupffer相isoを呈した結節に局所再発は認めなかった．局所再発は11結節（6.2％）で認め，全例が多血かつCEUS Kupffer相でdefectであった．累積局所再発率はMIP patten irregularの症例で，非irregularと比較して有意に高値であった（1年0.67 vs. 0.060，p＜0.0001）．局所再発に関する多変量解析では，MIP pattern irregular（p=0.0013）, AFP-L3≧10％（p=0.014）が独立危険因子であった．異所性再発は69結節（39％）で認め，そのうち39結節（22％）は亜区域内再発であった．異所性再発はMIP pattern irregular（p=0.040），治療前Alb＜3.7g/dl（p=0.050），治療前AFP-L3≧10％（p=0.0012）が独立危険因子であった．亜区域内再発はMIP pattern irregular（p=0.0009），治療前AFP-L3≧10％（p=0.0011）が独立危険因子であった．検討2：経過観察した非多血性48結節のうち，B mode高エコー/低エコーは　14/ 28結節であった．Kupffer相isoの39結節では9例が多血化し，残り30例が多血化せず経過観察中である．Kupffer相defectを呈した9結節では8例が多血化した．B mode所見，腫瘍径は多血化との関連は認めなかった．非多血性結節の多血化について，Kupffer相defect（p=0.00020）,AFP≧20ng/ml（p=0.041）が独立危険因子であった．
【考案】
多血かつCEUS MIP pattern irregular，AFP-L3≧10％，EOB-MRI肝細胞相低信号・DWI高信号の結節はRFA後局所再発リスクが高いため，積極的に手術適応を検討すべきである．一方非多血，もしくは多血だがKupffer相isoを呈する結節にRFA後局所再発は認めない．非多血でCEUS Kupffer相defectかつAFP≧20ng/mlを呈する結節は多血化率が高く，RFAでの早期コントロールが必要である．