榊原 充

Mitsuru SAKAKIBARA

大阪府立成人病センター肝胆膵内科

Hepatobiliary and Pancreatic Oncology, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases

キーワード :

【目的】
バイポーラRFAシステムでは複数本穿刺による広範囲凝固が可能である．しかしながら，推奨される複数本平行穿刺を現在の単針穿刺用システムで達成することは極めて困難である．そこで，複数本穿刺をより短時間に，かつ簡便に行える新たな穿刺システムの開発を目的とした．
【方法】
既存のコンベックス型プローベ（日立アロカ：B-514）に装着可能で14mm間隔の15G穿刺ガイド2本を持つ2チャンネルアタッチメントを作成した．肝癌に対して，この2チャンネルアタッチメントを用いたバイポーラアプリケータ2本によるRFAを行い，刺入に要した時間および凝固域の形状やサイズを従来法と比較した．また，2チャンネルアタッチメントを装着したプローベと標準のアタッチメントを装着したプローベの2つを用いて，Realtime Biplane法を応用したアプリケータ3本穿刺（2 by 1法）を試みた．
【結果】
2チャンネルアタッチメントを用いることで2針を約13mm間隔・平均12.7±4.1秒で再現性よく平行穿刺することが可能であった．これは従来法の平均132.2±82.2秒に比して有意に短時間であった（p=0.0003）．また，2チャンネルアタッチメントを用いると凝固域は必ず楕円球となり，不整な形状にはならなかった．凝固域はT20針の2本穿刺・18kJ投与で2.9×2.9×2.0cm（高さ×幅×厚み），T30針の2本穿刺・25kJ投与で3.6×3.6×2.4cmの楕円球となった．また，2 by 1法を用いたアプリケータ3本によるRFA治療では，すべての穿刺にかかる時間がわずか1分17秒であり，凝固開始から終了まで継続して全針の先端をモニターすることが可能であった．
【結論】
一度に2本平行穿刺を可能にする2チャンネルアタッチメントを応用することでこれまで困難であった複数本穿刺がより簡便となり，治療効果も安定することが示唆された．