利國 信行, 林 伸彦, 尾崎 一晶, 松江 泰弘, 平川 祐希, 中村 彰伸, 道上 洋二, 角田 真弘, 湊 貴浩, 堤 幹宏

Nobuyuki TOSHIKUNI, Nobuhiko HAYASHI, Kazuaki OZAKI, Yasuhiro MATSUE, Yuuki HIRAKAWA, Akinobu NAKAMURA, Youji MICHIGAMI, Masahiro KAKUDA, Takahiro MINATO, Mikihiro TSUTSUMI

金沢医科大学肝胆膵内科

Department of Hepatology, Kanazawa Medical University

キーワード :

【目的】
肝癌（HCC）の経皮的ラジオ波凝固療法（RFA）において，効果予測は通常，超音波（US）によるmicrobubbleの広がりに基づいて行われている．しかし，HCC自体はmicrobubbleの影響で描出されにくくなる．このためHCCとmicrobubbleの正確な位置関係の把握は難しく効果予測は不確実なものになりやすい．そこで我々はreal-time image fusion法を用いた効果予測の有用性を検討した．
【方法】
HCC単発症例において本法導入前後の比較を行った．対象は本法によってRFAを施行された14例（男性9例，女性5例，平均年齢73歳，平均腫瘍径19.2 mm）．対照は本法導入以前にRFAを施行された21例（男性8例，女性13例，平均年齢74歳，平均腫瘍径19.6 mm）．US装置および仮想USシステムはHI VISION Preirus（日立アロカメディコ），RFAはCool-tip RFシステム（Covidien）を使用．RFA前に造影CT/MRI，USのvolume dataを参照画像として保存．RFA直後にReal-time Virtual Sonographyを用いて参照画像とreal-time US画像を2画面表示しimage fusionを施行．次に参照画像のHCCの輪郭にそって球マーカーを描出．球マーカーは2画面に同期して描出されるため，real-time US画像上にvirtualにHCCの輪郭を描出させることができる．球マーカー全体がmicrobubbleに取り囲まれていた場合，治療を終了．後日，効果判定のため造影CT/MRI，USを施行．評価項目は，（1）本法による効果予測の精度，（2）本法導入前後でのRFAの総穿刺回数，セッション数の比較．
【結果】
性，年齢，肝疾患成因，肝予備能，新規発症/局所再発，腫瘍径，腫瘍部位，vascularity，使用した穿刺針の露出長，人工胸腹水の有無，肝動脈塞栓術の有無について，対象と対照に有意差は認められなかった．（1）本法による効果予測と実際の効果判定が一致した結節は85.7％（12/14結節）であった．（2）総穿刺回数は対象において平均2.0回，対照において平均2.3回であり，有意差は認められなかった．一方，セッション数は対象において平均1.1回，対照において平均1.6回であり，本法導入後はセッション数が少ない傾向が認められた（P = 0.055）．なお，全例で重篤な合併症は認められなかった．
【結語】
HCCのRFAにおいてreal-time image fusion法は効果予測に有用であった．その結果，RFAセッション数の減少がもたらされ，医療コストや患者負担の軽減に寄与すると考えられた．