Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
肝腫瘍(診断 悪性) 

(S567)

肝内胆管癌と細胆管細胞癌の画像検査所見の比較

Comparison of cholangiocellular carcinoma with cholangiolocellular carcinoma in radiological findings

會澤 信弘1, 吉田 昌弘2, 東浦 晶子2, 橋本 健二1, 2, 田中 弘教1, 2, 廣田 誠一3, 藤元 治朗4, 西口 修平1, 飯島 尋子1, 2

Nobuhiro AIZAWA1, Masahiro YOSHIDA2, Akiko HIGASHIURA2, Kenji HASHIMOTO1, 2, Hironori TANAKA1, 2, Seiichi HIROTA3, Jiro FUJIMOTO4, Shuhei NISHIGUCHI1, Hiroko IIJIMA1, 2

1兵庫医科大学肝胆膵内科, 2兵庫医科大学超音波センター, 3兵庫医科大学病理部, 4兵庫医科大学肝胆膵外科学

1Division of Hepatobiliary and Pancreatic Diseases, Department of Internal Medicine, Hyogo College of Medicine, 2Department of Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, 3Department of Surgical Pathology, Hyogo College of Medicine, 4Division of Hepatobiliary and Pancreatic Diseases, Department of Surgery, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【はじめに】
肝内胆管癌は線維化が強い腫瘍として知られ画像では転移性肝癌との鑑別が重要である.さらに細胆管細胞癌は肝細胞癌や肝内胆管癌に類似した組織が混在することも知られこれらの鑑別は治療を行う上で重要なポイントとなる.今回,当院で過去5年間に細胆管細胞癌と診断した腫瘍径3cm以下の4症例と肝内胆管癌と診断した腫瘍径3cm以下の7例について画像,病理を検討した.
【対象】
当院で過去5年間に細胆管細胞癌と診断した4症例(年齢:46〜77歳,男性3例,女性1例,手術症例:3例,生検診断:1例)肝内胆管癌と診断した7例(年齢:63〜80歳,男性3例,女性4例,手術症例:7例)を対象とした.
【結果】
細胆管細胞癌はCT,MRIの動脈相では全症例で造影効果を認めたが,いずれも淡い染まりであった.肝内胆管癌も,全例造影効果を認めたが,うち5例は辺縁のみ染影された.細胆管細胞癌は門脈相で染影が遷延した症例は2例で,いずれも全体ではなく部分的に染影を認めた.平衡相では3例で等〜低吸収となり,1例は低吸収を呈した.肝内胆管癌では4例に造影効果の遷延を認めたが,3例は周囲肝と同等であった.EOB-MRIを施行した9例とも,拡散強調画像では高信号,肝細胞相で低信号を呈した.(肝内胆管癌の1例は等〜低信号)細胆管細胞癌,肝内胆管癌いずれもSonazoid®造影超音波検査では動脈優位相,門脈優位相ともCT,MRIと同様の造影パターンであった.いずれの症例もKupffer相では明瞭なdefectを呈した.病理組織では細胞密度が高い部分は比較的造影効果は強く見られた.また,門脈血流が少し残存している症例や,線維性間質が比較的多い部分は遷延傾向を示した.
【まとめ】
肝内胆管癌と細胆管細胞癌において,腫瘍径が比較的小さいものでは,造影検査の動脈相で染影を認めるが,肝内胆管癌では辺縁にのみ造影効果を認める症例が多かった.門脈相では遷延傾向を認めない症例もあり鑑別は困難であった.線維性間質の程度,局在により染影のパターンが異なり,単一の画像診断による鑑別が困難である一因と考えられた.