多田 俊史¹, 熊田 卓¹, 豊田 秀徳¹, 金森 明², 乙部 克彦²

Toshifumi TADA¹, Takashi KUMADA¹, Hidenori TOYODA¹, Akira KANAMORI², Katsuhiko OTOBE²

¹大垣市民病院消化器内科, ²大垣市民病院形態診断室

¹Gastroenterology and Hepatology, Ogaki Municipal Hospital, ²Imaging Diagnosis, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【目的】
造影超音波所見とHCCの組織学的分化度との関連につき検討を行った．
【方法】
対象は2007年1月から2013年12月の間に肝切除が施行された5cm以下のHCC 147例，147結節である．年齢中央値は67.4歳，性別（男性/女性）は104例/43例で，成因（B/C/NBNC）は28/87/32例であった．組織学的分化度（高分化/中分化/低分化）は52例/86例/9例であった．超音波造影剤はソナゾイド^®を用い，超音波所見は動脈優位相（血管イメージ；細かく均一・樹枝状・chaotic，灌流イメージ；均一・不均一，灌流形状；整・不整），門脈優位相（washout；あり・なし），後血管相（エコー輝度；欠損・不均一・同等，形状；整・不整・不明）に分類し，検討を行った．
【成績】
ROC曲線による組織学的分化度（高分化/中・低分化）の鑑別では，動脈優位相の血管イメージがAUC：0.910（95％CI:0.851-0.947），門脈優位相がAUC：0.807（95％CI:0.728-0.866），と高値であり，さらに多重ロジスティック解析においても血管イメージがオッズ比8.769（95％CI:4.718-19.250），P＜0.001，およびwashoutがオッズ比15.286（95％CI:4.285-72.532），P＜0.001で中・低分化型に対する独立した因子として選択された．続いて，両者の所見を組み合わせたROC解析ではAUC：0.956（95％CI:0.910-0.979）と極めて良好な結果が得られた．パラメーター推定式はY=-0.378＋2.171×（血管構築：細かく均一;1点，樹枝状・chaotic;-1点）＋1.363×（washout：なし;1点，あり;-1点）であり，また推定式よりカットオフ値を-1.186としたときの感度は90.5％，特異度は90.4％，陽性適中率は94.5％，陰性適中率は83.9％であった．
【結論】
造影超音波検査はHCCの組織学的予測において有用な検査方法である．