英文誌(2004-)
一般口演 消化器
肝腫瘍(診断 良性)
(S563)
10年間観察された肝血管腫113病変の腫瘍径の変化に関する検討
Reseach about change of Hepatic hemangioma’s size(113tumors, 10years)
大竹 宏治
Kouji OHTAKE
日本赤十字社熊本健康管理センター診療部
Internalmedicine, Japanese Red Cross Healthcarecenter
キーワード :
【はじめに】
肝血管腫は,人間ドックの腹部超音波検査でよく発見される病変である.数年間までの短期間の経過観察の検討では,腫瘍径にあまり変化はないといわれていたが,近年10年以上の経過観察では,増大する症例が少なくないとの報告がみられる.そこで,当センターにおいても10年間観察された肝血管腫の腫瘍径の変化を検討した.
【対象と方法】
当センターの2013年度人間ドック受診者31,495名の腹部超音波検査で,肝血管腫またはその疑いと診断された1,412名(4.48%)のうち,2003年度,2004年度,2012年度に同腫瘍を確認できた113名(113病変)を対象とし,2003年度,2004年度の最大径平均と2012年度,2013年度の最大径平均を比較検討した.
【結果】
対象113名(男性70名,女性43名)の年齢は36から83歳(平均59.9歳)で,2012年度と2013年度の平均腫瘍径は10から89.5mm(平均24.5mm)であった.
腫瘍径の変化率は-55.6%から138.9%で,平均変化率は+19.25%(95%信頼区間+13.25から+25.25%)であった.変化率+50%以上の著名増大群は16病変(14.2%),変化率+25%以上+50%未満の軽度増大群は27病変(23.9%),変化率+25%から-25%の不変群は65病変(57.5%),変化率-25%以上-50%未満の軽度縮小群は4病変(3.5%),-50%以上の著名縮小群は1例(0.9%)であった.
【考察】
肝血管腫を10年間で変化をみると,43病変(38.1%)に変化率+25%以上の腫瘍径の増大を認め,平均変化率は19.25%であった.他の報告と同様,長期間の経過観察により増大傾向を示す症例が少なからず存在することを確認した.また他施設では軽度増大例より著名増大例の方が多いとの報告があるが,今回結果では増減率はほぼ正規分布に近かった.他報告では11年以上の観察期間が含まれているためと考えられ,今回のように10年間の観察期間に限って調査すると,特に増大例が多いわけではないと考える.従って長期間かけて腫瘍径が徐々に増大する症例が少なくないと考える.