丸山 雅史, 杉浦 亜弓, 徳竹 康二郎, 今井 隆二郎, 藤澤 亨, 森 宏光, 松田 至晃, 和田 秀一

Masafumi MARUYAMA, Ayumi SUGIURA, Koujiro TOKUTAKE, Ryujiro IMAI, Toru FUJISAWA, Hiromitsu MORI, Yoshiaki MATSUDA, Shuichi WADA

長野赤十字病院消化器内科

Gastroenterology, Nagano Red Cross Hospital

キーワード :

【症例】
70歳代，女性．
【現病歴】
食欲不振の精査目的で施行した腹部CT検査にて右結腸静脈近傍と傍大動脈に10mm大の腫大リンパ節を認めた．大腸内視鏡検査で横行結腸中部に5mm大の0-Ⅱa+Ⅱc様の進行癌を認め生検ではadenocarcinoma（tub2）の診断であった．PET検査においても腫大リンパ節と横行結腸腫瘍部に集積を認めリンパ節転移を伴う横行結腸癌もしくは悪性リンパ腫を鑑別に考えた．EUSでは下十二指腸角周囲に8-11mm大に腫大した類円形のリンパ節を認めた．腫大リンパ節の診断目的でEUS-FNAを施行した．
【EUS-FNA】
スコープはオリンパス社製UCT260，観測装置はオリンパス社製EU-ME1，穿刺針はBoston Scientific社製Expect25G針を使用し経十二指腸的に計3回穿刺した．迅速細胞診は陽性であった．固定標本では組織中に中分化から低分化型のadenocarcinomaを認め，結腸癌のリンパ節転移として矛盾のない所見であった．StageⅣの進行結腸癌と診断し現在化学療法中である．
【考案】
腫大リンパ節に対するEUS-FNAの検討はこれまで多く報告されており，悪性リンパ腫とリンパ節転移の鑑別に有用である．今回我々は原因不明の腫大リンパ節に対しEUS-FNAを行うことで病期診断し得た微小横行結腸癌の1例を経験したので考察を含め報告する．