Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
下部消化管③ 

(S557)

EUS-FNAが術前診断に有用であった上行結腸Schwannomaの1例

A case of ascending colon Schwannoma: usefluness of EUS-FNA in the preoperative diagnosis

佐々木 綾香, 木下 雅登, 境 秀樹, 山田 恭孝, 田中 克英, 吉江 智郎, 堀 順子, 佐貫 毅

Ayaka SASAKI, Masato KINOSHITA, Hideki SAKAI, Yasutaka YAMADA, Katsuhide TANAKA, Tomoo YOSHIE, Junko HORI, Tsuyoshi SANUKI

北播磨総合医療センター消化器内科

Gastroenterology, Kita-harima Medical Center

キーワード :

症例は60歳代男性である.健診異常に対する精査目的で施行した下部消化管内視鏡検査で,上行結腸に約35mm大の粘膜下腫瘍を認めた.腫瘍はCT検査で不均一な造影パターンを示し,FDG-PETでは集積亢進を呈したため,GISTなどの腫瘍を疑った.内視鏡検査時に腫瘍に対してボーリング生検を行ったが病理組織学的診断は得られなかった.十分なICを行った後,EUS-FNAを施行した.病変は深部結腸に存在したため,スライディングチューブを併用し,レントゲン透視下でGW誘導下にOLYMPUS GF-UCT260を挿入した.腫瘍は第4層と連続する,内部は均一な低エコー病変として捉えられた.22G針を用いて3回穿刺し,肉眼的に十分な生検組織量が得られた.HE染色では紡錘形細胞が柵状に配列し増生しており,増生する細胞の核に大小不同は認めたが異型性は乏しかった.また免疫染色にてS-100陽性,desmin,CD34,c-kitはいずれも陰性でありSchwannomaと診断した.腫瘍径が比較的大きいこと,悪性Schwannomaの報告もあることから腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した.病理結果は上行結腸Schwannomaであり永久標本でも悪性所見は認められなかった.SchwannomaはSchwann細胞由来の腫瘍であり,頭頸部,体幹,四肢の軟部組織に好発するが,消化管での発生頻度は低く,特に大腸に発生する例はまれであり,全消化管Schwannomaの2〜4%とされている.また,粘膜下腫瘍の形態をとるため術前診断は難しく,検索し得た範囲内においてEUS-FNAで診断し得た症例の報告はない.EUS-FNAは比較的低侵襲であり,また深部結腸であってもスライディングチューブを併用することで超音波内視鏡も挿入可能であった.今回,EUS-FNAが術前診断に有用であったため文献的考察を加えて報告する.