Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
下部消化管② 

(S555)

US gradeを用いた体外式超音波による潰瘍性大腸炎の活動性評価

Transabdominal ultrasonography with US grade in the assessment of disease activity of ulcerative colitis

北口 一也1, 島崎 洋1, 石本 博基1, 宮川 麻希2, 那須野 正尚2, 酒見 亮2, 田中 浩紀2, 本谷 聡2

Kazuya KITAGUCHI1, Hiroshi SHIMAZAKI1, Hiroki ISHIMOTO1, Maki MIYAKAWA2, Masanao NASUNO2, Ryou SAKEMI2, Hiroki TANAKA2, Satoshi MOTOYA2

1JA北海道厚生連札幌厚生病院医療技術部放射線技術科, 2JA北海道厚生連札幌厚生病院IBDセンター

1Department of Radiological Technology, JA Hokkaido Kouseiren Sapporo Kousei Hospital, 2Department of IBD Center, JA Hokkaido Kouseiren Sapporo Kousei Hospital

キーワード :

【はじめに】
潰瘍性大腸炎(以下UC)の画像評価は下部内視鏡検査(以下CS)がgold standardである.UCは長期に渡る治療および経過観察が必要なため,繰り返し行われるCSは,頻回な前処置の施行と検査中の腹部膨満感などを与え,患者にとって重い負担となっており,より非侵襲的な検査が求められている.
【目的】
患者にとって負担となりうる前処置を施行せずに,非侵襲的に繰り返し検査が可能な体外式超音波検査(US)が,UCの活動性評価として有用であるか,retrospectiveに検討した.
【対象と方法】
2013年1月から2014年11月の間に,当院においてTotal CSおよびUSを同時期に施行されたUC 60例を対象とした(平均年齢36.3±18.7歳,男性32例・女性28例).全大腸を上行結腸(A),横行結腸(T),下行結腸(D),S状結腸(S),直腸(R)の5segmentに分け,以下の検討を行った.
(検討①)
USには少なからず死角が存在するため,各segmentの描出率を算出した.
(検討②)
USにより各segmentのSM厚・壁厚を計測し,内視鏡スコア(Mayo endoscopic subscore:以下MES)と比較検討した.
(検討③)
当院独自のUS grade(USⅠ:壁肥厚(-),USⅡ:SM層肥厚(+)・低エコー(-),USⅢ:SM層肥厚(+)・低エコー(+),USⅣ:層構造が不明瞭)を用いて,各segmentのMESとUS gradeにおける活動性評価の関連を比較検討した
(検討④)
CSとUSによる病型の一致率について検討した.
【結果】
(結果①)
各segmentのUSの描出率はA(88%),T(100%),D(100%),S(97%),R(23%)であり,直腸以外の領域においては良好な描出率であった.
(結果②)
MES毎のSM厚はMES0(1.1mm), MES1(1.6mm),MES2(2.6mm),MES3(3.1mm),壁厚はMES0(3.1mm),MES1(3.9mm),MES2(5.2mm),MES3(6.8mm)であり(いずれも中央値),内視鏡スコアの上昇とともにSM厚,壁厚は共に増加傾向を示していた.
(結果③)
MES2以上とUS grade2以上をそれぞれ活動性ありと定義した場合の,内視鏡スコアとUS gradeの一致率はA(91%),T(83%),D(77%),S(78%),R(71%)であった.
(結果④)
病型の一致率は全大腸炎型83%(20/24),左側大腸炎型67%(12/18),直腸炎型0%(0/2)であった.
【結論】
UCに対する体外式USは,活動性評価や罹患範囲の同定に有用と考えられた.
今後は,経過観察や薬剤投与前後など治療効果判定ツールの一つとして使用していきたい.