Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
下部消化管① 

(S552)

小腸脂肪腫による腸重積症の1例

A case of intestinal lipoma presenting with intussusception

児玉 尚伸1, 堀口 雅史2

Masanobu KODAMA1, Masafumi HORIGUCHI2

1守山市民病院内科, 2守山市民病院外科

1Internal Medicine, Moriyama City Hospital, 2Surgery, Moriyama City Hospital

キーワード :

【緒言】
成人の腸重積症は腸重積全体の約5%であり,小児に比して比較的まれな疾患である.器質的疾患を原因とすることが多く,約80%が腫瘍性病変に起因する.小腸良性腫瘍の集計では脂肪腫は2番目に多い疾患であり,約8割が回盲弁から60cm以内に存在する.脂肪腫は他の小腸良性腫瘍に比べ,腸重積を合併する割合が高く,柔らかい粘膜下腫瘍である脂肪腫が蠕動運動により徐々に有茎性となり,回盲部に嵌入するためと推測されている.今回,回腸脂肪腫による腸重積の1例を経験したので報告する.
【患者】
34歳 女性
【主訴】
上腹部痛
【既往歴】
33歳時 虫垂炎
【現病歴】
平成26年○月朝より上腹部痛が生じ,近医を受診し,投薬を受けるが軽快せず,嘔吐を生じ,当院を受診した.
【腹部CT所見】
回腸末端部から上行結腸にかけて同心円状層構造を呈する腸管像を認めた.
【腹部超音波所見】
右側腹部に短軸像にてmultiple concentric ring signを認め,腸重積先進部に腫瘤性病変がみられた.腸管周囲に微量腹水を伴った.
【入院後経過】
小腸腫瘍による腸重積と診断し,同日緊急手術を施行した.
【手術所見】
正中切開し,回腸末端近くの回腸回腸型の腸重積を徒手的に整復した.整復された腸管の血流および蠕動が良好なことを確認した.腫瘍を触知し,直上で腸管切開し,約3cm大の可動性良好で表面平滑な有茎性腫瘍を認めた.同部を含めた回腸を切除し,回腸断端を側側吻合施行した.
【病理組織学的検査】
腫瘍は成熟した脂肪細胞から構成され,比較的大きさが揃っており,核異型や核分裂像はみられず,脂肪腫と病理組織学的に診断された.
【結語】
小腸脂肪腫による腸重積症の1例を経験し報告した.