河野 仁美¹, 太田 剛弘^{1, 2}, 水野 博之¹, 村岡 英幸¹, 長江 啓二¹, 米田 正始²

Hitomi KAWANO¹, Takahiro OTA^{1, 2}, Hiroyuki MIZUNO¹, Hideyuki MURAOKA¹, Keiji NAGAE¹, Masashi KOMEDA²

¹高の原中央病院かんさいハートセンター循環器内科, ²高の原中央病院かんさいハートセンター心臓血管外科

¹Division of Cardiology, Takanohara Central Hospital, Kansai Heart Center, ²Department of Cardiovascular Surgery, Takanohara Central Hospital, Kansai Heart Center

キーワード :

【症例】
48才．女性．
【現病歴】
2010年6月他院にて子宮頸癌で広範子宮全摘術施行．経過観察のCTで心房中隔に腫瘍を指摘され，心エコー検査施行し24×19mm程の可動性の乏しい楕円状の皮膜を有する腫瘤を心房中隔に認めた．悪性の疑いもあり手術考慮となった．
【検査結果】
経胸壁心エコーではLVEF 62％で，腫瘍は心房中隔内を広く占拠し一部が右房内に突出する辺縁平滑で，明らかな茎を認めなかった．経食道エコーも同様の所見で非典型的だが粘液腫，脂肪腫などが疑われた．心電図は明らかな異常なく，胸部Ｘ線は心拡大認めなかった．
【臨床経過】
子宮がんなどの転移も考慮したが検査上明らかな異常認めず，手術可能と考え2014年11月に手術．心房中隔内に広範に腫瘍を認め，薄い被膜に覆われた境界明瞭な腫瘍で粘液腫状と思われた．病理的検討で免疫染色結果から，心臓内では稀な神経鞘腫と考えられた．
【考案】
神経鞘腫は末梢神経の構成細胞のシュワン細胞由来とされる良性腫瘍で，多くは皮下組織や筋肉など，脳神経，脊髄神経に発生する．シュワン細胞は末梢神経にとって重要な細胞だがSchwannomaの報告は心臓内，心房内では稀であった．
【結語】
子宮癌術後の画像検査で心房中隔内と右房に突出した腫瘍が認められ，手術後に稀な神経鞘腫と確認された手術症例を経験したので報告する．