Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
症例報告・心臓腫瘍 

(S537)

再発を繰り返した原発性心臓滑膜肉腫の一例

A case of repeated recurrence of primary synovial sarcoma of the heart

玉置 俊介1, 山田 貴久1, 中川 敬也2, 白川 幸俊2, 小牧 愛3, 中野 豊3, 島津 宏樹4, 伏見 博彰4, 福並 正剛1

Shunsuke TAMAKI1, Takahisa YAMADA1, Takaya NAKAGAWA2, Yukitoshi SHIRAKAWA2, Ai KOMAKI3, Yutaka NAKANO3, Kouki SHIMAZU4, Hiroaki FUSHIMI4, Masatake FUKUNAMI1

1大阪府立急性期・総合医療センター心臓内科, 2大阪府立急性期・総合医療センター心臓血管外科, 3大阪府立急性期・総合医療センター臨床検査科, 4大阪府立急性期・総合医療センター病理科

1Division of Cardiology, Osaka General Medical Center, 2Division of Cardiovascular Surgery, Osaka General Medical Center, 3Clinical Laboratory Department, Osaka General Medical Center, 4Division of Pathology, Osaka General Medical Center

キーワード :

【はじめに】
原発性心臓滑膜肉腫は非常に稀な疾患であり,全ての原発性心臓腫瘍の中に占める割合は僅か1%未満であると報告されている.右心系に発生する場合が多く,予後は非常に不良であり,治療を行ってもほとんどの場合1年以内に死亡する.今回我々は,腫瘍摘出術・放射線療法・化学療法を行い,一時は腫瘍の縮小を認めたものの,その後再発を繰り返し治療に難渋した一例を経験したので報告する.
【症例報告】
18歳男性,特記すべき心疾患の既往なし.平成23年8月頃から感冒様症状が出現,以後症状改善せず背部痛も出現したため近医受診,経胸壁心エコー図検査にて左室を圧排する巨大な腫瘍性病変を指摘され,当院紹介受診となった.胸部CT・心臓MRIでも同様の所見を認め,悪性腫瘍の可能性が高いと判断され,同年11月に腫瘍摘出術を施行.病理診断および遺伝子検査の結果,心臓滑膜肉腫と診断された.腫瘍組織残存の可能性が高かったため,術後放射線療法および化学療法を施行し,以後腫瘍拡大傾向は認めず経過観察となった.しかし,平成25年12月の胸部CTで腫瘍再発を認めたため,平成26年1月より化学療法を行い,腫瘍の縮小傾向を確認後,同年3月に腫瘍摘出術を施行した.軽快退院後,外来にて経過観察を行っていた所,同年9月のPET検査にて再び腫瘍再発が疑われ,経胸壁心エコー図検査でも左室を圧排する腫瘍組織の再発を認め,胸部CT・心臓MRIでも同様の所見を確認した.同年11月に腫瘍摘出術を施行したが,術後合併症および腫瘍組織の再拡大による循環不全等のため多臓器不全となり,同年12月に永眠された.
【考察】
原発性心臓滑膜肉腫の症例報告は非常に少なく,また本症例のように左心系に発生した報告はこれまでほとんど無い事から,本症例は稀有な症例と考えられる.